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これまで読んだ本、新しく読んだ本の感想を適当に書いていきます。 ※あくまで個人の感想です!
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目次
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悪意
伊良部一郎シリーズ
噂の女
往復書簡
お江戸でござる
オリンピックの身代金
オレたちバブル入行組
折れた竜骨
顔 FACE
化学探偵Mr.キュリー
仮想儀礼
かばん屋の相続
機長、事件です!
Q&A
救命センター当直日誌
金融探偵

コモリと子守り
櫻子さんの足下には死体が埋まっている
さまよう刃
事故―別冊黒い画集Ⅰ
死体置き場で夕食を
十角館の殺人
しまのないトラ
Sherlock: A Study in Pink
シャーロック・ホームズシリーズ
シャーロック・ホームズ秘宝の研究
小公子セディ
小公女
真珠夫人
新世界より
ずっとあなたが好きでした
ストロボ
世界の終わり、あるいは始まり
ダウントン・アビーに於ける職業指南書
武田信玄(あかね文庫版)
地球進化 46億年の物語
冷たい川が呼ぶ
天璋院篤姫
トッカン 特別国税徴収官
トッカン The 3rd おばけなんてないさ
トッカン vs勤労商工会
猫のなるほど不思議学
パーカー・パインの事件簿
初ものがたり
福家警部補の挨拶
ブードゥー・チャイルド
ホームズの伝記比較
ホームズ・パロディ(J・トムスン)
星新一のショートショート
「本が売れない」というけれど
ぼんくら
マスカレード・ホテル
マンガ版シャーロック・ホームズ
万能鑑定士Qの事件簿のシリーズ
「見たいテレビ」が今日もない
ミッキーマウスの憂鬱
密室殺人ゲーム王手飛車取り
密室の鍵貸します
みんないってしまう
モンスター
夜行観覧車
ラプラスの魔女
霊柩車No.4
ワイルド・スワン
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新世界より



以前より単行本で出ていて、薄々面白そうだとは思っていたのですが、何せ分厚い本が上下2巻!(←文庫でも出てますが、こちらは上中下の3巻)
読む時間もかかりそうだし…とちょっと敬遠していた所、偶然この作品のアニメ版を見た知人が面白かったのでオススメだと言っていたので、それなら原作読んでみようかなと、借りてみました。

いやぁ、思ったより面白く、あんな長編なのにあっという間に読み終わっちゃいました。

舞台は今から1000年後の日本。
日本は何故か文明が後退し、パッと見は昭和に戻ったような、のどかな風景が広がります。
そこに住む人々は、見た目普通の人間ですが、みな呪力という超能力を使いこなし、それぞれ生活に役立てています。

この呪力は、物語の中で最も重要な設定の一つで、人間はこの力を使いこなす為に大きな犠牲を払っている…という暗い側面が、作中の最初の方から見え隠れし、ある意味この物語の根幹を成していると言えるかもしれません。

それからもう一つの重要な設定が、醜いバケネズミの存在。
バケネズミは、元々ハダカデバネズミを人間が呪力で改造してこのような姿にしたと言い伝えられており、大きさはネズミより大きく人間より少し小さめ。
普通のバケネズミは人間の言葉を理解しませんが、一部利口なバケネズミは人間の言葉をしゃべり、バケネズミの各コロニー(集団)のリーダーを務めていたりします。
そして常に人間社会で管理されながら独自の集団生活を行い、人間には絶対服従で奴隷のように扱われつつも、人間を「神様」として扱い、畏れ敬っているのです。

そんな物語の主要キャラとなるのが、この話自体の語り手となる渡辺早季と、幼馴染の朝比奈覚(さとる)。バケネズミ側の主要キャラが、スクィーラ奇狼丸(きろうまる)です。


話の要約は、話全体が長く複雑で、要約なんて無理なので端折りますが、最後まで読んだ上で最も印象的なキャラといえばやはりスクィーラでしょうか。
彼は最初、早季や覚の前に姿を見せた時は、口が達者でお調子者ながらも規範通り人間への完全服従の態度を崩さず、早季たちを神様と敬い、呪力を神様のお力と称えます。
しかし終盤、スクィーラの起こしたある大事件が全て終わってから早季たちの前に姿を見せた彼は、まるで別人のよう。
早季たちを普通にあなたがたと呼び、呪力を悪魔の力だと言いきります。最後は神様扱いしてた人間たちの前でおまえ達の邪悪な圧政はいつか必ず滅びるという内容を叫んで表舞台から消えていくのです。

この物語に番外編があるとしたら、やはりスクィーラの物語を読んでみたいです。
早季たちが過ごした同じ時間軸を、スクィーラはどのように過ごしたのか。早季たちと同様に世界の隠された真実を、ミノシロモドキによって知った瞬間があったはず。そこからどのように考え、計画を立てて実行するに至ったのか…。

ひょっとしたらこっちの方が、「新世界より」の本編より面白い話になるんじゃないかと、つい思ってしまうのです。
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ずっとあなたが好きでした



図書館の返却棚で見つけた本ですが、タイトルを何気なく見て、それから著者を見たら何と歌野晶午さんじゃないですか!
歌野さんといえば、密室殺人ゲームとか、ミステリで有名な作家だと思うのに、このタイトルを見る限り、まさかの恋愛モノ?
いやいや、タイトルは恋愛と見せかけて、中身は違うとか…と本を手にとって裏表紙の紹介を読むと、何だか本当に恋愛小説のようで…。
かなり分厚くて読む時間結構かかりそうなのに、歌野さんが描く恋愛モノってどんな感じなんだろう?という好奇心が押さえきれず、つい貸し出しカウンターへw

短編集になっているようなので、とりあえず表題作から何も考えずに普通に読み始めましたが、確かに歌野さんらしい作品になってますね。
単純な恋愛モノと見せかけて、ちょっとひねってあったり、ミステリっぽくなってる話もあったり。
主人公はどれもみな男性のようで、小学生から、初老の男性まで、年齢は様々。

ふむふむと中盤まで普通に読んだ所で、ある仕掛けに気づきました。

あれ?これってまさか…!?と前の短編を読み返し、確認し、やっぱりそうだよねー!と疑惑が確信になったところで、この小説の種明かしをしている話が、最後から二つ目の短編錦の袋はタイムカプセル

なるほど、こういう仕掛けがあるとこが、歌野さんらしいですよね。
仕掛けが分かってから、再度読み返すと、面白さ倍増です。
最初は若干オチの凝った、ただの恋愛ものだと思ったのに、やられた!と思いました。

そんなわけで、思ったより楽しめた本なのですが、最後の短編散る花、咲く花は、ちょっと蛇足気味のような…。
タイトルとリンクさせたかったのかもしれないけれど、錦の袋はタイムカプセルで、十分意図は伝わると思うし。

とはいえ、久々に面白い本を読んだ気がします。
まあ今読み返したいかと言われると微妙ですがw

しばらく時間が経って、文庫が安く手に入る頃になったら、また読みたくなるかも?

オレたちバブル入行組



去年のヒットドラマといえば、あまちゃん半沢直樹でしょうか?
中でも半沢直樹の倍返しだ!というセリフはインパクト抜群でしたw
そりゃあね、普通の大人は理不尽な目にあっても、倍返しってなかなか出来ませんからね。しかも堺雅人がやけにハマリ役だったしw

…なんていってる私はドラマ見てないんですよ。
面白そうだなーとは思いつつ連続ドラマって見るのが面倒で。
いつか原作が図書館に置いてあったら借りてもいいかな~くらいの気持ちでした。

それから約1年。ありましたよ。返却棚に半沢直樹の原作本が!
というわけで読んでみたわけですが…。

思ったより面白かったです。

まず、半沢が某銀行の内定を取るところから始まります。
時はバブル真っ盛り。内定者を他企業に取られないように隔離したりと、バブル後に就職活動した身からすると信じられない話ですなぁ。全く。
で、そこから10数年の時が流れて半沢は融資課長を務める中間管理職になり、奥さんの花と、小学生の息子がいる、ごく普通の父親に。

そんなある日、不自然な融資を支店長主導で強引に通された後すぐに、その企業が倒産。通した融資の責任を何故か半沢一人が負わされそうになり、彼はあの手この手で、融資5億円分を回収しようとするのですが…。

お金を回収する為に、裏金がどこかにないかとひたすら探す半沢の姿が、どうもどこかで見たような気がするなぁと思ったら、トッカンですねw
この話の中にも国税局が出てきて、銀行側にめちゃめちゃ嫌われています。
いやぁ、あの鏡特官やぐー子も、フケ入りのうな重を食べさせられたのかと思うと、ちょっと同情するかもww
知らぬが仏というか…お昼は絶対外に出た方が身のためっぽいですな。

まあ話自体はさほど複雑でもないです。
舞台が銀行だから、慣れない用語、慣れない制度に若干戸惑いますが、それでも倒産したときの対応とか、かなり分かりやすく書いてます。
そうか、こんな通知が来て、それはこういう意味なのか…と納得。
いつか倒産したときには是非参考にしようと思ったりして!?
(その前に起業することがなさそうだけどw)

銀行は裕福なものにお金を貸し、貧しいものには貸さないのが鉄則

本文にそう書いてあって、妙にうなずいてしまいました。そりゃあそうだね。
これは銀行の…というより、人にお金を貸すときの鉄則じゃないかしら。

ドラマでは半沢の妻を、上戸彩が演じてて、かなりキュートなイメージでしたが、こちらの妻はちょっと身勝手。半沢が窮地に立たされていても、心配するのは自分のことと息子のことのみ。
もし彼が失敗して銀行追われたら、絶対離婚してそうだしw

一方対称的に好印象だったのは、浅野支店長の妻。
最後の方、半沢に「どうか、主人をよろしくお願いします」と詰め寄るシーンは、圧巻。
あれがなかったら支店長は犯罪者だったものねぇ。
さすがの半沢も、無関係の奥さんを地獄に突き落とすのはためらったようで…。
ああいうのを内助の功と言うのかしらね。
花は半沢のためにあそこまでやってくれるのかどうかちょっと疑問。

最後、この本の舞台は何故か大阪なんですよ。
梅田の地下街で飲むシーンなんか、一体どこで飲んでたのかしら?と想像しちゃいました。
やっぱりホワイティのどこかかしらねw
倒産した社長の自宅を訪問する時は、阪急に乗って移動しますが、その描写もやたらリアル。
大阪住んでてよかったと思った一瞬です。


いやぁ次の本も楽しみだなぁと思ったら、最後半沢は昇進して東京へ。
えー、東京行っちゃうの~?残念すぎる・゚・(つД`)・゚・

福家警部補の挨拶



ドラマの予告でちらりと見たこのタイトルを、例のごとく図書館の返却棚で見つけて借りたのがきっかけです。
壇れいさん主演のこのドラマ。気になりつつも結局見てなかったけど、ネットの記事で「女版古畑」とか書かれてたなぁ~。
ということはコロンボ式のミステリー(叙述式)ってことか?
…くらいの認識しかなく、著者も全然知らなかったわけでw

叙述式のミステリーといえば、やっぱりコロンボや古畑任三郎が有名ですね。
※叙述式の本来の意味は、文章の見せ方で読者を騙すということなので、別に犯人が最初から分かる形式を現わすわけじゃないです。念のため。
ちなみに最初の叙述式ミステリーはアガサ・クリスティのアクロイド殺人事件かな…。

コロンボの方は余り見てなかったのですが、和製コロンボと言われた古畑の方は第1シーズンから最後の話まで、ほぼ全部タイムリーに網羅しました。
この形式のミステリーは、推理モノのお約束「犯人はお前だ!」的な意外な犯人、意外なトリックで意表をつくことが出来ないので、ストーリー展開やキャラクターの個性で読者(視聴者)を惹き付けなければいけないという、結構難易度の高いミステリーなんですよね。

この著者はコロンボの大ファンで、こういうミステリーが書きたかった…と、あとがきに書いてありますが、まあその通り、正当派コロンボミステリーという感じになってます。
ということで、内容にも触れていきましょう。

第1話、最後の一冊
福家警部補初登場の舞台は、地方の閉館寸前の図書館。
何とか図書館を残したい館長の天宮祥子は、借金清算の為に図書館を潰したい、オーナーの江波戸宏久を、深夜の図書館内で、事故に見せかけて殺害します。
一見完璧に見えた計画も、偶然の雨天と、館内の空調の故障と、本のことを全然考えない宏久の行動etcがきっかけになって、福家警部補の餌食になってしまう犯人w

身長152cmで童顔で、全然警部補に見えない福家警部補。
しかも現場に入る時は、いつも警察手帳を探してカバンをゴソゴソやってて、見張りの警官に野次馬扱いされちゃうしww
この辺の描写は、第1話からずっとお約束みたいで、どの話にも必ず出てくるようです。
はっきり言って全然切れ者に見えない彼女、犯人も聞き込み先もそんな彼女につい油断してあれこれ話してしまうというのが、このシリーズのポイント。
同じ女刑事でも、乃南アサさんの音道貴子(「凍える牙」etc)や東野圭吾さんの内海薫(原作の方のガリレオシリーズ)とは全然違うタイプの切れ者です。

軽く福家さんの紹介をしたとこで、第2話、オッカムの剃刀
この話の犯人は、何と元警察関係者。5年前まで現役の複顔術(白骨から生前の顔を割り出す作業)を担当していて、現在は大学で講師をしている…という、捜査内容を知りつくした、ある意味最大の強敵、柳田嘉文。
柳田は、ある犯罪について医学部の准教授、池内国雄に脅されていた為、連続強盗の一つを装って深夜彼を殺しますが…。
この犯人、元捜査関係者というだけあって、犯行の手口もその後の対応も、ものすごく用意周到。
予想外のことがいくつか判明しながらも、なかなか尻尾を掴めない福家警部補は、ついに捜査協力と偽って柳田を罠に誘います。

古畑シリーズではよく使われてた「犯人を罠にかけて自供させる」手法。このシリーズでは余り使われなくて、使ったのはこの話のみ。
まあ、これだけ強力な相手じゃあ仕方ないですねぇ~。
ところで、この話において、福家さんの「会った人の顔は一度で覚える」という特技が登場します。
いやぁー、5年前に一度会っただけの柳田さんのことを覚えているなんて、すごい~。
人の顔を覚えるのが苦手な私には神業としか思えないですww

さて、そんなこんなで第3話、愛情のシナリオ
女優小木野マリ子は、同じ役をめぐって最終候補に残っている柿沼恵美を、深夜彼女の自宅で殺害します。
前のオッカムの剃刀に比べると、犯罪もシンプルだし、残された手がかりも分かり易く、福家警部補も、さほど迷うことなく犯人を追いつめるのですが…。
この話のポイントは、タイトル愛情のシナリオ。
タイトルの意味が最後に分かります。それから同時に判明する犯人の隠された殺人動機…。

この話では福家さんの映画&ドラマオタクぶりが判明w
後のシリーズでは、お笑い芸人にも詳しく、劇場の回数券まで持ってる様子が伺えますが、捜査中は睡眠も取らず家にも帰る時間もなさそうなのに、一体いつ見るんだか…。

で、最終話、月の雫
居酒屋みたいなタイトルですが、こちらは日本酒の名前。
地元密着で小規模ながらも味にこだわった酒造りをしている谷元酒造と、味よりも経営を優先する大手酒造、佐藤酒造。
谷元酒造の社長、谷元吉郎は、合併という名目でのっとりを計画していた佐藤酒造の社長、佐藤一成を、自分の酒蔵内に巧妙に招き入れて、事故に見せかけて殺害しますが、冬にしては記録的に暖かかった気候がきっかけで、完全犯罪にほころびが生じて…。

酒蔵が関わる事件といえば、古畑の第3シーズン「灰色の村」を思い出しますねぇ。
あの話は酒蔵内で殺人が起こるわけではなかったから、タイプが違うといえば違うけれど、酒蔵を守る為の殺人という意味では似ているかな?と思ったりして。
あの話の最後で、犯人が「この酒の味を信じてればよかったのに…」とつぶやきますが、この話もそんなセリフが似合いそうですね。
佐藤酒造の強引なやり方に屈して、谷元酒造との付き合いを切っていた地元の熊本酒店も、味の違いによる顧客離れから、結局やり方を見直すことにしたし…。
殺人事件など起こさなくても、佐藤酒造はじきに自滅してたのでは?

と、この話で判明するのは、福家警部補の酒の強さ。
ウォッカをグラスに何杯も飲んだあと、持ってきた月の雫までどんどん飲んで相手から情報を聞き出し、「これ以上飲むと酔ってしまいますので」とスタスタ歩いていく福家さん。
おいおい酔ってしまいますって、あれだけ飲んで酔ってなかったんかい!!!


総括としては、全般的にそれなりに面白かったと思います。
この次のシリーズ「福家警部補の再訪」もしっかり借りて読んじゃったし。
傑作!というほどではないけれど、読み易くて、かといって内容も軽すぎず、他人にも進め易い本だと思います。

とはいえ、読み終わって思うのは、ドラマ化して福家さん=壇れいさんというのはちょっと違うのでは?
福家さん最大の特徴は童顔と身長152cmという、とても刑事には見えない見た目。
どちらかというと大人っぽい美人な彼女にはちょっと似合わないような…。
芸能人に詳しくないので誰ならいいとかは分かりませんが、もうちょっと雰囲気の近い人にやって欲しかったかなーとは思います。

密室の鍵貸します



昔、東野圭吾さんの作品を図書館から借りまくっていた時期があって(当時は直木賞を受賞する前だったので最新作まで割と普通に借りられました)、その時隣にあったこの著者の本を、東野さんの本だと勘違いして借りたのが、そもそものきっかけだったように思いますw

借りてから、間違えたことに気づいたのですが、もう出口に向かってて、今更返すの面倒だし…と、そのまま家に持ち帰って、ついでに読んでみることに。

舞台は首都圏にある、海沿いのごく普通の地方都市、烏賊川市(いかがわし)
昔イカの水揚げが有名だったらしく、そのイカを運ぶ烏賊川が街の真ん中を流れ、市の名前もそこが由来…という、その設定必要なのか?と思ってしまうほどの、丁寧な舞台設定w

事件はそんな奇妙な市内にて、唐突に起こります。
主人公は、彼女と別れたばかりの大学4年生戸村流平。先輩茂呂耕作の紹介で、就職が決まったばかりの、ごく普通の大学生。
流平は、茂呂耕作に映画鑑賞会をしようと誘われます。何しろ映画マニアの彼のアパートには防音室があって、大音量で映画や音楽がやり放題!
流平のリクエストは「殺戮の館」。誰に聞いても「長ったらしくてつまらない」という、不名誉なお墨付きの映画ですが、彼はそれを見たことがないので、今回どうしても見てみたいと、レンタル屋で借りて、茂呂耕作の家に行きます。

家に到着後、流平はシャワーを借りて、7時半から鑑賞会スタート。映画は2時間半なので、終わったら10時。その後、耕作は酒とつまみを買いに近所の酒屋に行き、途中で飛び降り自殺に遭遇したと流平に報告します。
警察が大勢来てて…と話す耕作をよそに、流平は自殺現場が、元彼女のアパートじゃないかとドキドキ。そうこうしながら二人で酒とつまみを食べたあと、耕作はシャワーをあびに風呂場へ。

ところが、いくら待っても耕作が出てきません。不審に思った流平が風呂場のドアを開けると、そこには息絶えた耕作の姿が!!
しかも翌日になって、前夜耕作の目撃した自殺が、実は飛び降り自殺を偽装した殺人事件で、被害者はまさかの元彼女。

一体誰が元彼女と耕作を殺したのか!?
そして殺人の容疑者となってしまった流平の運命は??


これ、著者のデビュー作らしいのですが、話はテンポよく進み、飽きさせません。
映画を利用したトリックも、ありがちだけど、なかなか面白いし。
個人的には「殺戮の館」がどんな映画なのか気になります。見てみたい~ww
オリジナルではなく、流平の見た「“面白い”殺戮の館」ですが(爆)。

ちなみに、この話、探偵役は流平の元義兄、鵜飼杜夫かと思いきや、事件の大筋を解明したのは、警視庁の砂川警部
探偵が登場しながらこのパターンは、ちょっと珍しいですね。
つうか、割合なら、砂川さん7割、鵜飼さん3割で、探偵としては、イマイチ心もとないような…w


ただ、この話のメイントリック、時計が主なポイントになっているのですが、その割にはあれでよく流平が途中で時間を確認しなかったなーというのは疑問。
彼は携帯電話を持っていて、鑑賞会中は電源を落としてたのだから、鑑賞会が終わって耕作がつまみを買いに行ったら、その隙に電源を入れる可能性はなかったのかな?
そこは、もうひとアイデアあってもよかったかなー。腕時計の話に加えて。

とはいえ、この話の時代の携帯電話は、電話帳機能もほとんどないし、メールなんてついてなかったようなので、どちらかというと、発信専用だったのかしら。
少なくとも、今ほど携帯電話が身近ではなかったのでしょうね。
何しろ友人の牧田に電話するのに、わざわざ手持ちのアドレス帳を調べているんだし。
(ここら辺で時代を感じましたw)
というか、この話で考えると、流平は携帯電話を持ってなかったというほうが、よくないですかね?
メールもない時代の携帯電話なら、まだ持ってない派が多数だったろうから、そんなに不自然ではないし。


…とまあ、こんな感じでついでに借りて読んだ、この著者の本ですが、これが結構面白かったので、その後も気が向くとあれこれ借りて読んでます。
気がついたら、烏賊川市のシリーズも2014年現在で6冊出てるなんて、驚きだ…w

いや、一番驚いたのは、この著者、後に謎解きはディナーの後でが大ヒットし、一躍有名作家になっちゃったことかな。
あの当時は間違えて借りたのに、今では予約しなきゃ借りられない著者に…!!


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