実在する霊柩車ドライバーの方が書いたブログを元にして書かれた小説らしいですが、
霊柩車ドライバーが探偵役という、かなり変わったミステリです。
(というか、私は他に見たことがないw)
葬儀業界の裏側が垣間見れて、いろいろと「ふーん…」て思いました。
人の遺体を車で運ぶことが、あれだけ神経を使うなんて…。
というのも(本文より)↓
「事故を起こした場合、故人は貨物だ。対人保険でなく対物保険になるんでね。けれども、ご遺体には値段がつけられない以上、対物保険は下りない。だから事実上、保障はない。よって充分に注意しながら運転してる」だそうです。そうなんだ…保険下りないんだ…。
そういえば救急車が搬送中に事故というニュースは聞いたことがありますが、霊柩車が火葬場に行く途中で事故…というのは聞いたことがない?
(実際はどうなんだろう?いくら注意してても事故ゼロってことはないと思うけれど…本当にゼロなのかな!?)
この著者の本は、先に「万能鑑定士Qの事件簿」1~12巻、「万能鑑定士Qの短編集」1、2巻を読んでましたが(その話はいずれ書く予定)、それらが「人が死なないミステリ」という触れ込みで、殺人どころか自然死も発生しないシリーズですが、「霊柩車No.4」は霊柩車のドライバーが主役だけあって、殺人も病死も普通に発生します。
そういう意味では、人の生死に関わるので、Qのシリーズよりは少し重め。
でも個人的には、Qのシリーズは面白かったけど、ちょっと軽すぎる気がしていたので、この本の独特の暗さ&重さがちょうどいいような気がします。
前半は主人公「怜座彰光」の人物紹介のような感じで、割とクールに、淡々と話が進むのですが、後半は急展開!
焼き場からの脱出劇は、かなりハラハラしました。ていうか、普通あのまま焼かれて骨になっちゃうのでは!?w
そして、まさかのあの人が黒幕!!
予想出来ない結末に最後まで気が抜けない話なのですが、私は前半の淡々とした話の方が好きかなぁ。
出来たらあのままの感じで、短編集みたいな感じでもよかったと思う…。
(後半のあの展開は、どう考えてもやりすぎだw)
ただ、ラストで、4年半前にひき逃げに遭い事故死した怜座彰光の奥さんの件に、決着が付きそうなのはほっとしました。
真相も明らかになって、お墓も作ったことだし、これで少しは前に進んで欲しい。。。
続編…は、どうもなさそうですが、続編があったら、今回よりは明るい怜座さんに会えるのかしら?
そういえば、タイトルの「No.4」って一体何!?
最後まで読んだけど、由来、出てきたかしら?私が見落としたのかな?
図書館で見た時、面白そう~とは思ったけれど、既にNo1~3まで刊行されているのかと思って、検索機で探しちゃいましたw
最後に、怜座さんのセリフでこの記事を終わりにします。
「遺体はたんなる物ではない。運ばれるときは貨物でも、かつては人間だった。その事実に変わりはない」