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これまで読んだ本、新しく読んだ本の感想を適当に書いていきます。 ※あくまで個人の感想です!
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目次
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悪意
伊良部一郎シリーズ
噂の女
往復書簡
お江戸でござる
オリンピックの身代金
オレたちバブル入行組
折れた竜骨
顔 FACE
化学探偵Mr.キュリー
仮想儀礼
かばん屋の相続
機長、事件です!
Q&A
救命センター当直日誌
金融探偵

コモリと子守り
櫻子さんの足下には死体が埋まっている
さまよう刃
事故―別冊黒い画集Ⅰ
死体置き場で夕食を
十角館の殺人
しまのないトラ
Sherlock: A Study in Pink
シャーロック・ホームズシリーズ
シャーロック・ホームズ秘宝の研究
小公子セディ
小公女
真珠夫人
新世界より
ずっとあなたが好きでした
ストロボ
世界の終わり、あるいは始まり
ダウントン・アビーに於ける職業指南書
武田信玄(あかね文庫版)
地球進化 46億年の物語
冷たい川が呼ぶ
天璋院篤姫
トッカン 特別国税徴収官
トッカン The 3rd おばけなんてないさ
トッカン vs勤労商工会
猫のなるほど不思議学
パーカー・パインの事件簿
初ものがたり
福家警部補の挨拶
ブードゥー・チャイルド
ホームズの伝記比較
ホームズ・パロディ(J・トムスン)
星新一のショートショート
「本が売れない」というけれど
ぼんくら
マスカレード・ホテル
マンガ版シャーロック・ホームズ
万能鑑定士Qの事件簿のシリーズ
「見たいテレビ」が今日もない
ミッキーマウスの憂鬱
密室殺人ゲーム王手飛車取り
密室の鍵貸します
みんないってしまう
モンスター
夜行観覧車
ラプラスの魔女
霊柩車No.4
ワイルド・スワン
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地球進化 46億年の物語



たまにのぞくと興味あるテーマがあるブルーバックスですが、今回読んでみたのはこちらの本。
地球の成り立ちというと、大昔NHKがやっていた「地球大紀行」を思い出します。
ただあの番組の放送は、確か1987年(wikiにありました)。
毎月一度の放送が当時楽しみだったのを、今でも覚えてます。

とはいえ、あの番組からもう27年。当時は最先端だったであろう内容も、さすがに違う学説などが出てきてて、地球の歴史も少し変わっているかもしれないなぁ…と思って、この本を手に取ったわけですが…。

いやー、予想外に面白かったです。
この本の主なテーマは、正に地球進化の歴史。
宇宙の成り立ちから、太陽系の成り立ち、そして地球がどうやって出来て、どんな歴史を辿り、現在の風景を作り出すに至ったのか、細かく、最近の研究を元に記述しています。

最初に興味深かったのは月の成り立ち
月は、いつも側にありながらも、長いことナゾの存在でした。
元は宇宙から飛んできて、地球の重力につかまったのか、はたまた、地球が出来た時に一緒に出来たものなのか…etc
この本によると、地球が出来かけた頃に、テイアと呼ばれる地球の1/3ほどの大きさの小惑星が地球に衝突し、その衝撃で飛び散った地球のかけらが、集まり、月になった…らしいです。
そして月は、地球の周りを回りながら、1年に3.8cmほど遠ざかっています。遠い未来には、宇宙の果てになくなってしまうものなのでしょうねぇ。
そして、遠ざかっているということは、逆算すると、昔は今よりずっと近い所にあったというわけで…。
計算すると、45億年前の月は、地球から24000kmしか離れてなくて、地球から見た月の大きさは、満月で考えると、今の250倍
ひょっとしたら、太陽に匹敵するくらい明るかったのかも!?
そして当時の地球の自転速度は今よりずっと早く、一日は5時間ほど。月の速度もめまぐるしくて、何だかもう、いろいろと想像出来ませんw

それから、海と陸地の成り立ちも面白いですね。
まず海が先に出来て(もちろん今とはまるっきり成分が異なります)、その後大陸が登場。
海は、地球が出来て1億年ほどで登場しますが、陸地の登場はそれからさらに1億年ほど後の話。

面白いのは、生命の進化と鉱物の関係
それぞれ違う歴史を辿っているかと思いきや、両者には密接な関わりがあり、誕生当時の地球にはたった12種類の鉱物しかなかったそうです。
それから、大陸の移動、衝突、あるいは、光合成を行う生命が生み出した酸素によって、鉱物は多種多様に発展してきました。。
生命がなかったら、今の1/3程度の鉱物しか存在しなかったなんて、びっくりです。
地球上にあるもので、双方無関係のものなんて、ひとつもないのかもしれません。

そして最後に判明するのが、人類の歴史の短いこと短いこと…。
西遊記に「お釈迦様の手の上の悟空」というエピソードが出てきますが、我々人類は、地球の手の上に乗せられているに過ぎないのですね。。。


最後にこの本のエピローグから印象的な文章を抜粋します。

人間の過去100年の活動が、大気の成分の変化やそれに続く気候の変化を引き起こしたことは、物理法則と同じくらい疑いようのない事実だ。
~中略~
私たちの行動のせいで地球は暑くなり、氷は解け、海面は上昇するだろう。しかしそれは地球にとってなんら新しいことではない。
~中略~
私たちが行動を起こすのは、“地球を救う”ためでは決してない。45億年以上、激しい変化の中を生き続けてきた地球を、私たちが救う必要などない。
~中略~
私たちのような大型哺乳類も大量絶滅するかもしれないが、そうなれば他の脊椎動物が取って代わる。
~中略~
もし地球の行く末を心配するのであらば、それは何より人間という種のためであるべきだ。誰よりも危機に瀕しているのは私たちなのだから。


よく「地球に優しい」とか「自然を守ろう」などというキャッチフレーズを見かけますが、地球的には優しくしてもらわなくてもかまわない。
我々の身の回りにある自然(植物)だって、地球の歴史で考えると、出現したのはたったの4億年前。40億年以上存在してなかったのだから、別になくても困らない。
そして、地球上では、これまでも様々な種が絶滅と進化を繰り返していて、人間だって例外ではないはず。
だから人間は、今の環境を出来るだけ長く引き伸ばして、いつかやってくる滅びの時を少しでも先延ばしにする為に、ひたすら悪あがきをするしかないのでしょうね。
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伊良部一郎シリーズ



奥田さんって、本当に幅広い作家さんだなーって思いますよ。
「最悪」「オリンピックの身代金」みたいな社会派を書いたかと思いきや、コメディみたいな小説も書くのだから…。
(しかも基本的に当たり外れの少ない作家さんだと思ってます)

今回紹介する3冊は、どちらかというとコメディかな?
伊良部総合病院の地下の奥まった場所にある謎の精神科医、伊良部一郎&その助手マユミ
言動も行動も、はっきり言ってヤブ医者としか思えないDr伊良部ですが、表立って病院に通えない、通いたくない、あるいは、通えなくもないんだけど、たまたま看板を見つけちゃった奇妙な症状を持つ患者さんたちが、続々と彼の元にやってきて、効果不明の注射を打たれて帰っていきます。

もちろん、ただ注射されるだけでなく、一言二言の診察は受けるのですが、その診察がまた絶妙。
ほとんどでまかせだろうと思われるDr伊良部のセリフが、何故か患者の症状にクリティカルヒットしちゃったりするんですよね。
そして最初は全然信用してなかった患者たちが、だんだんDr伊良部に心を開き、最後は自分自身の症状と真っ向から向き合うのです。

真っ向から向き合う…なんて書くと、ものすごく真剣な物語のようですが、そこは奥田さんのコメディ。
患者さんが真剣になればなるほど、読む側は何故か笑いがこみあげてくるという、不思議な感覚を味わえます。
ただし、笑う前に我が身を振り返ると、これって人のこと言えないよなーと思うこともあったりして。
ときどきそんな瞬間にドキっとするのがポイントです。


では一冊ずつ、軽く紹介していきましょう。
まずはDr伊良部のデビューイン・ザ・プール
この本は、デビューしたばかりということで、イマイチDr伊良部のヘンテコ具合が薄いかなぁ。
個人的なお気に入りは、第4話、携帯電話のメールにハマって抜け出せない高校生、津田雄太が主人公のフレンズ
今の高校生ならLineなんでしょうけど、メールってとこが時代を感じますねw
私なんかまだガラケー&メールだけどww
この話、最後の雄太の本音がいいです。
友達はいた方がいいけど、自分を偽ってまで作るもんじゃないよねー。
読んでて何だか納得しちゃいました。

次は、直木賞を受賞した空中ブランコ
この中のオススメは、ハリネズミかな。
バリバリのヤクザなのに何故か先の細いものが苦手な、猪野誠司が主役ですが、全編笑いどころ満載…というか、最初から最後までニヤニヤしながら読めますww
特に最後、敵対する組の人物と対決するシーンが傑作!しかも思わぬ展開になっちゃうし。
テレビでヤクザ絡みのニュースを見るたびに、「この人も実は…」と思っちゃいそうですw

最後、ついにDr伊良部&マユミが東京から離島に赴任しちゃう町長選挙
この本は、最初の3話が、とある有名人をそれぞれモデルにしてて、最後の町長選挙は離島での話という構成になってます。
とにかく最初の3話のモデルになった有名人が、読めば誰だか絶対わかるようになっていて、おいおいこれは本人たちから苦情が来なかったのか?それよりもよく出版社も出したよね。ヤバすぎじゃね?と思わざるを得ないような…。

1話目オーナーは、ちょうどセ・リーグとパ・リーグを一体化するとかしないとか、やいのやいのやってた頃の話がモデルになってて、主役のオーナーのあだ名はナベマンw
2話目アンポンマンは、ライブファストとかいうIT企業を運営する、若手社長が主役w
3話目カリスマは、とにかく見た目に執着する40代の元宝塚女優白木さんが主役w

…何というか、さりげなくモデルにするとかそんなレベルじゃないとこが、爆笑です。
しかもラストの離島の話では、Dr伊良部は町長選挙に振り回されっぱなしで、これまでやりたい放題だった彼もタジタジ。
そういう意味では、3冊の中で一番Dr伊良部が活躍してない本かもしれませんね。
でもまあ、面白いことには変わりないです。

私も精神的にやられることがあったら、Dr伊良部に診て欲しいかもなぁ。
きっと何もかもどうでもよくなりそうですw

Q&A



この本は、ある一つの事件をテーマに、全ての章が質問と回答、或いは誰かと誰かの会話のみで構成されている、ちょっと変わった形式の小説です。

ある事件というのは、2002年2月11日に起きた架空の事件で、舞台は、とある大型ショッピングセンター
4階の婦人服売り場に現れた謎の中年夫婦の万引き騒動と、地下の食料品売り場で不審な男が撒いた不審な液体騒動…。
事件と呼べるものはこの二つくらいしか登場しませんが、何故かこれらがほぼ同時に発生した為、ショッピングセンター内の多くの乗客、従業員がパニックになり、最終的には死者69人、負傷者116人という大災害に発展してしまいます。

物語の序盤は、まだ事件から日が浅いようで、事件を調べているインタビュアーと、その時センター内にいたお客さんや、事件に直接関わった人の、質疑応答形式で進みますが、中盤~後半にかけては、事件から年月が経過した様子で、質疑応答というより、事件周辺にいた人々、直接事件に関わったわけでもない人たちの会話で話が進みます。

特に主題にあがってくるのは、あの大災害の中、大人たちにもみくちゃにされながら何故か無傷で助かった一人の女の子。
その子の手には、自分の持ち物ではない、血だらけのぬいぐるみが握られていて、それを引きずって歩いていた所を保護されるのです。
彼女は、この一件から「奇跡の少女」と呼ばれるようになり、周囲の大人たちの手で神様に祭り上げられ、しまいには不幸な最期を迎えることになるようですが…。


インタビュー形式の小説というと、何となく宮部みゆきの「理由」を彷彿させられますが、「理由」は事件の内容も結果もはっきり分かっているのに比べて、こちらは結局大災害の原因は不明のまま。
ただ、人間はちょっとしたことでパニックになり、一度パニックになると収集がつかないのだ…ということがよく分かります。
みんなが逃げているから逃げている。ただそれだけで最終的には大災害にまでなってしまうなんて。

何となく学校のいじめ問題みたいだなと思ったのは私だけ?
いじめも、きっかけは些細なことだったりしますね。
でもそれが最後には、相手を自殺にまで追い込むことになってしまう。
周囲の人は、最初のきっけかなんか知らずに、ただ、みんながいじめているから自分も加わってみたという程度だったりして。

この話の本当のテーマは、この災害が何故起きたかとかではなく、集団心理の怖さや、災害が起きた後の人々の変化だったのでしょうね。
ごく普通の女の子が奇跡の少女になり、はたまた神様にまでなってしまう…というのが、その象徴なのでしょう。


そういえば、この話、事件の日付は作中に記載があるのですが、年の記載はないんですよね。
でもソルトレイクオリンピックの話が出てきたので2002年と勝手に書いてしまいました。
本を読みながら、ソルトレイクって何年前だったっけ?というか、今年ソチオリンピックがあったけれど、今年から何回前のオリンピックだったか全く思い出せなかった私…(^^;)
次のオリンピックは大体覚えているものですが、前のオリンピックは、終わった瞬間から忘れてしまいますねw

お江戸でござる



杉浦日向子さんといえば、昔NHKでやってた時代劇コメディー「お江戸でござる」の監修をしていたのを思い出します。
江戸の下町を舞台にした寸劇が終了した後、出演者に囲まれた杉浦さんが、話の内容について、ここは実際の江戸時代ではこうだった、ああだった、あるいは、ここは非常に上手に表現されていた…などなど。
専門家なのに、ちっとも専門家らしくない軽妙で優しい口調が印象的でした。

これは、そんな「お江戸でござる」の解説で語られた江戸の様々な風習を、あの時の杉浦さんのお話のまま一冊の本にしたものです。

杉浦さんは2005年にお亡くなりになっているのですが、これを読んでいると、まるで杉浦さんの優しい解説が聞こえてくるような気がします。
この本の解説にも書いてありますが、杉浦さんが普通の専門家と違うのは、専門家が現代から江戸時代を解説しているのに対して、彼女は、江戸時代の目線から、現代の私たちに語りかけているのです。

また、本編の合間に語られるこぼれ話も面白く、中でも西洋との文化の比較がちょっと目からウロコ。
西洋のオペラやバレエは、貴族→庶民に降りてきたものですが、日本の歌舞伎は、庶民から生まれ、次第に武士や奥女中など、上の方に広まったのですね。
西洋文化は、戦争によって奪い、交じり合うハイブリッドな文化ですが、江戸の日本には戦争はなく、内部から発酵する熟成文化…という解釈もユニークです。


この本を読んでから、時代劇を見ると、いろいろ突っ込み所満載ですね。
例えば今NHKでやってる鼠、江戸を疾る(NHK木曜時代劇)では、毎度蕎麦屋さんが出てきますが、そのお蕎麦の食べ方が微妙…。
江戸時代のそばつゆは、現代の三倍濃縮のやつを原液のまま入れたくらいの濃さなので、お蕎麦全部つゆに浸したら、辛くて食べられません。
下1/3くらいを浸してするするっと食べるのが正解だそうです。
蕎麦屋さんのシーンのたびに、出演者の食べ方が気になって仕方がない…。

それから、やたら若い、どう見ても20代前半の番頭さんが出てきたけど、あんなに若い番頭さんいないから!
せいぜい手代でしょう~。番頭さんって言ったら、どんなに順調に出世しても30代後半です。

他にもいろいろ気になるとこがありますが、ここで書くとキリがないのでやめておきます。
というか、杉浦さんを天国から呼び戻して、もう一度時代考証し直して欲しいです。

密室殺人ゲーム王手飛車取り



歌野さんの毒々しさがたっぷり堪能出来る一冊です。

ミステリーって、書いたことないけど、おそらくトリックを先に考えて、それに合うストーリーを構築していくものじゃないですかね…。
つまりミステリーに登場する人の命は、話を盛り上げる道具と言いきっちゃうことも出来るわけで。
とはいえ、そんなこと表立って言えることじゃないから、作家は被害者に殺されても仕方がないような動機を考えたり、あるいは犯人を非常に残虐な性格に仕立てたりするわけですね。

そんな建前に真っ向から反発し、まるであざ笑うかのような本が、この密室殺人ゲームです。

この本に登場する「頭狂人」「ザンギャ君」「伴道全教授」「044APD」「axe」というハンドルネームを持つ5人は、現実世界でそれぞれ殺人を犯し、どんなトリックを使用したのかを、ウェブ上で討論します。
ここに登場する人の命は、その討論のための道具。本当にただそれだけの存在です。
まあここまで割り切ったミステリーも珍しいですね。ある意味アッパレw

最初の出題「次は誰を殺しますか?」は、出題者「axe」。
axeは都内で次から次へと殺人をし、殺された人たちの関連を問題にしてます。
この話はちょっと長い。個人的に最初にこれを持ってきたのは失敗じゃないかなーと思う。
もうちょっと5人のやり取りに慣れてから、中盤辺りでもってくればよかったのに…。
しかし次から次へと、よくターゲットを見つけるなぁ…と思ったら最後にその謎が解けますw

次の出題「生首に聞いてみる?」は、出題者「ザンギャ君」。
この問題は密室殺人&アリバイトリック。アパートの一室で某男性を殺し、死体を運び出しますが、死亡推定時刻、アパートの前で工事が行われていて、どうやって死体を運び出したのかが、解決のカギになります。
一応この本の主役「頭狂人」が事件を調べに、関係者に聞きこみに行くのですが、まさかこの聞きこみがラストの複線になろうとは…。
で、このトリック、金田一少年の事件簿辺りで使われそうだけど、絵で見るのはちょっとコワイ…w文章だからまだいいけど…。

次の出題「ホーチミン-浜名湖五千キロの壁」は、出題者「伴道全教授」。
浜名湖のサービスインターで殺人発生!だが、そのちょっと前に教授はベトナムに行ってて(証拠映像アリ)、殺人時刻に浜名湖に行くことは不可能。さて、どうやって殺人をやったのか?
この話は、トリックそのものも面白いけれど、トリックから付随して教授の正体がバレそうになるとこがミソかな。
終盤で教授の正体が判明しますが、そっちか!とちょっとびっくりしましたw

次の出題「求道者の密室」は、出題者「044APD」。
住宅街そのものをがっつり警備してある「とよなかやすらぎの丘」。いわば管理人のいるオートロックマンションを町ぐるみで作った住宅街なのに、その警備をかいくぐって殺人が発生!
殺されたのはごく一般的な会社員ですが、寝室には妻と子供もいたのに、そちらは全く気づかれず殺人実行。
いったいどうやって警備をかいくぐったのか?が、ポイントです。
個人的にはこの話が一番面白いかなー。こういうトリックは動機があったら出来ないような気がします。普通こんな方法絶対選ばないよなぁ~。

次の出題「密室でもなく、アリバイでもなく」は、いよいよ主人公「頭狂人」の出題。
この話は、一見普通のマンションで起きた殺人事件で、密室&アリバイトリックかと思われますが、本当の出題はそこじゃなくて…。
ここで「頭狂人」の正体を「ザンギャ君」が見破りますが、前の生首事件が重要な複線になってます。
が、頭狂人、生首事件でそんなこと言ってたかなー?見直したけど言ってなかったと思う。複線にするならそこはちゃんと書いて欲しかった所かも。

しかし「頭狂人」の正体にびっくりした余韻も収まらないうちに、「044APD」の正体に唖然…そうきたか!!!
各殺人の合間に語られる「頭狂人」の過去話はそういうことだったのね…と納得。

ここから怒涛のラストに向かいますが、「頭狂人」の事件からラストへの一連の流れはなかなか見事だと思いますよ。最初がちょっとグダグダしてただけに、最後は超特急で読み終わりました。

で、しかもこの話、最後は超中途半端!ええーそこで終わりかよ!!
まさかのクリフハンガーなラストに驚愕です。
続きは密室殺人ゲーム2.0に続くわけですが、その話はまた気が向いたら。


この話、私はかなり面白く読めたけど、アクが強いのは事実ですね。人には余り勧めにくい。
何だか自分の趣味とか疑われそうだしw
少なくとも万人にオススメ出来る本ではないのは事実だと思います。


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