図書館の返却棚で見つけた本ですが、タイトルを何気なく見て、それから著者を見たら何と
歌野晶午さんじゃないですか!
歌野さんといえば、
密室殺人ゲームとか、ミステリで有名な作家だと思うのに、このタイトルを見る限り、まさかの恋愛モノ?
いやいや、タイトルは恋愛と見せかけて、中身は違うとか…と本を手にとって裏表紙の紹介を読むと、何だか本当に
恋愛小説のようで…。
かなり分厚くて読む時間結構かかりそうなのに、歌野さんが描く恋愛モノってどんな感じなんだろう?という好奇心が押さえきれず、つい貸し出しカウンターへw
短編集になっているようなので、とりあえず表題作から何も考えずに普通に読み始めましたが、確かに歌野さんらしい作品になってますね。
単純な恋愛モノと見せかけて、ちょっとひねってあったり、ミステリっぽくなってる話もあったり。
主人公はどれもみな男性のようで、小学生から、初老の男性まで、年齢は様々。
ふむふむと中盤まで普通に読んだ所で、ある
仕掛けに気づきました。
あれ?これってまさか…!?と前の短編を読み返し、確認し、やっぱりそうだよねー!と疑惑が確信になったところで、この小説の
種明かしをしている話が、最後から二つ目の短編
錦の袋はタイムカプセル。
なるほど、こういう仕掛けがあるとこが、歌野さんらしいですよね。
仕掛けが分かってから、再度読み返すと、面白さ倍増です。
最初は若干オチの凝った、ただの恋愛ものだと思ったのに、
やられた!と思いました。
そんなわけで、思ったより楽しめた本なのですが、最後の短編
散る花、咲く花は、ちょっと蛇足気味のような…。
タイトルとリンクさせたかったのかもしれないけれど、
錦の袋はタイムカプセルで、十分意図は伝わると思うし。
とはいえ、久々に面白い本を読んだ気がします。
まあ今読み返したいかと言われると微妙ですがw
しばらく時間が経って、文庫が安く手に入る頃になったら、また読みたくなるかも?
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