忍者ブログ
これまで読んだ本、新しく読んだ本の感想を適当に書いていきます。 ※あくまで個人の感想です!
プロフィール
HN : izumi
性別 : 女性
連絡先 : こちらからどうぞ
ブログ内検索
目次
50音順になってます

悪意
伊良部一郎シリーズ
噂の女
往復書簡
お江戸でござる
オリンピックの身代金
オレたちバブル入行組
折れた竜骨
顔 FACE
化学探偵Mr.キュリー
仮想儀礼
かばん屋の相続
機長、事件です!
Q&A
救命センター当直日誌
金融探偵

コモリと子守り
櫻子さんの足下には死体が埋まっている
さまよう刃
事故―別冊黒い画集Ⅰ
死体置き場で夕食を
十角館の殺人
しまのないトラ
Sherlock: A Study in Pink
シャーロック・ホームズシリーズ
シャーロック・ホームズ秘宝の研究
小公子セディ
小公女
真珠夫人
新世界より
ずっとあなたが好きでした
ストロボ
世界の終わり、あるいは始まり
ダウントン・アビーに於ける職業指南書
武田信玄(あかね文庫版)
地球進化 46億年の物語
冷たい川が呼ぶ
天璋院篤姫
トッカン 特別国税徴収官
トッカン The 3rd おばけなんてないさ
トッカン vs勤労商工会
猫のなるほど不思議学
パーカー・パインの事件簿
初ものがたり
福家警部補の挨拶
ブードゥー・チャイルド
ホームズの伝記比較
ホームズ・パロディ(J・トムスン)
星新一のショートショート
「本が売れない」というけれど
ぼんくら
マスカレード・ホテル
マンガ版シャーロック・ホームズ
万能鑑定士Qの事件簿のシリーズ
「見たいテレビ」が今日もない
ミッキーマウスの憂鬱
密室殺人ゲーム王手飛車取り
密室の鍵貸します
みんないってしまう
モンスター
夜行観覧車
ラプラスの魔女
霊柩車No.4
ワイルド・スワン
[17]  [16]  [15]  [14]  [13]  [12]  [11]  [10]  [9]  [8]  [7

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

初ものがたり



1999年に新潮社から出ていた初ものがたりが、今年の7月にPHP文芸文庫から完本として出版されていたらしいですね~。
本屋をのぞいたら、懐かしい本が山積みになっていて、ちょっとびっくりしました。
完本は、以前新潮社から出ていたものに、3つのエピソードを付け加えて出版したとか。。。

この初ものがたりは、江戸時代を舞台に、本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」こと岡っ引きの茂七が、子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む物語で、短編集になっているので、とても読みやすい。
いや、読みやすいのは、短編集だからではなく、宮部さんの文章だからか。
とにかく、この時代のことなんか歴史の授業程度の知識でも、すらすらと読め、いつの間にか江戸の下町にどっぷり浸かってしまうのです。
※これは初ものがたりに限らず、宮部さんの江戸もの全般に言えることですがw

お店を「おたな」、手下を「てか」と自然に読めるようになり、薮入り(やぶいり)、差配人(さはいにん)…という言葉がすっかり頭に馴染んでしまえば、もう宮部江戸ワールドの一員(私含むw)!

そして初ものがたりが他の宮部さんの江戸ものと違うのは、各章ごとに美味しい食べ物が登場すること。
最初の章で、町に現れた稲荷屋の屋台の親父。この人が謎の人物で、元はお侍さんらしいが、一体どういう筋の人なのか(作中結局名前も出てこなかったし最後まで正体不明…)!?
店を出すと必ずショバ代をもらいに来るヤクザの勝蔵ですら、すごすご逃げ帰る始末で、茂七も事あるごとに気になるものの、なかなか素性を聞き出せない。
その屋台では、名前通りお稲荷さんがメインなのですが、他にもいろいろと美味しそうなものが沢山出てきて、空腹の時間に読むのは、精神的によくないですw

しかもよく考えてみたら、この時代、一部の雲上人をのぞけば、庶民が食べていたものは、ほぼ「地産地消」。産地偽装なんてあり得ない。
また、冷蔵、冷凍技術もないし、缶詰もないし、ハウス栽培もないので、食べ物は全て季節のもの。その季節に食べられるものだけを食べていた時代だったんですよね。

もちろん現代の私は、その技術の恩恵を十二分に受けている立場なのですが、この時代のこういう食事も悪くないよなぁ~なんて思ってしまったりして…。
※ただし現実的に考えて、この時代で自分が暮らせるとは思えないわけですがw


ところで、宮部さんの江戸時代もの、これがあまりに上手く出来てて、ついこれが本物の歴史小説のような気がしてしまうのですが、鵜呑みにするのはどうも危険らしいです。

というのも、江戸時代の研究家杉浦日向子さん(2005年没)の著書によると、まず岡っ引きという言葉は、いわゆる蔑称で、要するに先生を不良が「センコー」とか呼ぶのと同じようなことだとか。
つまり、自分で「岡っ引き」と言うことはあり得ないし、本人に岡っ引きと言うときは、相手にケンカを売る時。少なくとも親しい相手や尊敬する相手には「岡っ引き」とは言わないとか。
最初に作品の紹介で「岡っ引きの茂七」と書いてあるのは、本の裏の紹介文からの引用で、本文中にもちょくちょくこの言葉が出ますが、表現としてはおかしいと思いながら読んだ方がいいのかも。

それから途中「薮入り」という言葉を出しましたが、これも、当時は上方(関西)で使われていた言葉だとか…(でもwikiではまた違うことが書いてあるなぁ~。個人的には杉浦さんの説が正しいと思いたいですが、最近また説が変わったのでしょうか?)。


ま、そんな細かいことはともかく、とりあえず読んでみることをオススメします。
PR


忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne