ブックオフをぶらぶらしてて、何となく見つけてしまったのがこの本。
内容は
小学6年生が銃を使用した連続誘拐殺人をやらかすという、かなり衝撃的な感じだったのですが、歌野さんだし、まあハズレはないかな…と思って購入しちゃいました。
で、実際は…そうですね。前半は面白くてどんどん読み進めたのですが、後半はビミョー…。
はっきり言ってしまうと、この話にオチはないです。
話は、前半も後半も、犯人の父親目線で進んでいきます。
近所で息子の友達が誘拐され、身代金が要求されますが、父親は自分の息子(や娘)が誘拐されたワケじゃないし…とどこか他人事。
しかし、息子の机の引き出しから、誘拐された少年の父親の名刺を偶然発見した所から、父親の頭に疑惑が生まれます。
その後も次から次へと、息子が犯人である証拠を発見していくのですが、肝心の息子には問いただせない。
一体自分はどうしたらいいんだろう…というところで前半は終わります。
後半は、もしこのままだったら我が家はどうなるのか…という父親の未来予想、というか妄想の繰り返しになります。
もし、警察が真相にたどり着いて息子が逮捕されたら…。
もし、父親が息子を疑っていることがバレたら…。
もし、真実が世間にバレる前に、自分がこの事件の隠蔽にかかったら…。と、永遠に
「もしも」の世界が繰り広げられ、そこはちょっとしつこいかもw
こういう重いテーマを描くなら、ちゃんと息子と向かい合うオチを用意して欲しかった…。
ただし、自分の身内がもし凶悪犯人だったら…ということは、いろいろと考えさせられます。
私に子供はいないけれど、本当に子供が、こんなことをやらかしたら、どう償えばいいんでしょうね。。。
例の父親も、息子が逮捕される妄想の中で、そのことを考えます。
被害者のご両親にはどう謝罪すればいいのか。
4件も誘拐殺人をやらかしているのに、賠償金は払いきれるのか。
とにかく普通に考えたら、とうてい許してもらえることではない。
ではボランティアをしたり、仏門に入ればいいのか。
そして、まだ幼い娘の将来はどうなるのか…と。
大体今勤めている会社だって、絶対クビになるに違いない。
そして当然、その後の再就職は絶望的…。
読みながら、何となく、かの
「酒鬼薔薇事件」を思い出しました。
きっとあの両親も、途中から薄々息子のことに感づいていて、警察が家に来るその瞬間まで、自分たちはどうするべきなのか、これからどうなるのか、悩んでいたのかもしれません。
タイトル「世界の終わり、あるいは始まり」の意味が、最後になって分かります。
息子が誘拐殺人犯人だなんて、もう
世界の終わりだ!
しかし本当の終わりはそこではない。
世界の終わりはこれから始まるのだ…。
個人的には、このテの小説で、被害者(の家族)側や、加害者本人の側から、あるいは警察の側から描く話は珍しくないと思うのですが、加害者の肉親からという目線は、ちょっと新鮮でした。
後半の展開を考えると、余りアタリとも言えないですが、大ハズレでもないなーというのが正直な感想です。
これから読む人は、図書館で借りることをオススメしますw
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