半沢直樹で一躍有名になった池井戸さんの短編集です。
前に金融探偵を借りて読んだので、この人の短編は二冊目かな?
ただ、
金融探偵は、短編だけど連続長編ともとれる構成になっていましたが、この本は純粋な短編集ですね。
とはいえ、内容はやっぱり
銀行の融資関係のお話。
そういや半沢さんも融資課にいたから、
池井戸さんどんだけ融資の話好きなんだと思いながら読みましたw
話は全部で6つあるので、印象的な話だけレビューします。
「十年目のクリスマス」妻の付き添いで宝石屋に来た銀行マン永島が、たまたま昔の取引先と遭遇します。
10年前に融資課の一員として担当した零細企業の社長。確か銀行からの融資を断られた後、倉庫が火事にあい、会社は倒産、社長も破産したはずだったのに、見るからに羽振りがいい様子で、調べると資産が結構すごいこと!?
あの社長、どこにそんな隠し財産があったんだ?と永島はこっそり調査しますが…。
最初は融資断られて火事にあって、ふんだり蹴ったりで、かなり同情したくなる社長ですが、後半したたかに乗り切った様子が伺えて、読者としては微妙に複雑ww
このくらいしたたかでないと、会社運営なんか出来ないんだろうなーとは思わされますが。
「手形の行方」若干破天荒気味な銀行マン堀田は、取引先から一千万の手形を受け取ったあと、その手形を紛失するという大失態を犯します。
もちろん銀行中大騒ぎ!ゴミ箱の中からシュレッダーの中まで、くまなく探しますが、手形はどこにもない。
結局手形は見つからず、取引先やら何やら、あちこち頭を下げて、事件は収束。堀田は懲戒処分を受けて、閑職に異動になります。
が、堀田の上司伊丹は、事件の後、あることに不審を抱き、真実を悟るのですが…。
あったはずのものがないって、私自身もあるあるですが、それが一千万の手形となると話は別です。
話は堀田の上司、伊丹の目線で書かれてますが、ここにもない、あそこにもない…と様々な可能性を探る場面はちょっとミステリーっぽくて面白いです。
で、結局手形を持ってたあの人は、どうなったんでしょうねー。
「妻の元カレ」メガバンクの地方支店で地味に仕事している青島は、ある日引き出しから妻宛てのハガキを発見します。
相手は元カレの森中。彼は大学卒業後に就職できず、フリーターをしてたらしいですが、ハガキによれば、会社を設立し、社長になっているとか。
そしてその頃から妻の行動が何やら怪しくなっていきますが…。
この話は、短編集の中でも唯一銀行も融資も関係ないです。というか、青島の勤め先は大手企業で転勤があるならどこでもよかったようなw
それにしても、妻絵里香のしたたかさが、ほんといやらしい~。でもこれで最終的に森中についていって、破産なんかしたら、ざまーみろです。青島クン、職業上判明した森中の会社の実体なんか、こんな女に教えなくていいから!!
「かばん屋の相続」小さいけれど、職人の手作りにこだわって顧客をつかんできた松田かばん。
そこの社長がガンで亡くなり、跡取りは仕事を手伝ってた次男かと思いきや、遺言書によると、かばん屋を嫌がって銀行に就職した長男に社長をゆずるという言葉が…。
この遺言、銀行を退職したかった長男の策略じゃないのか?という周囲の疑惑をよそに、長男はかばん屋を経営し始めますが…。
この話、社長は以前から次男に経営は譲らないと言ってたらしいですが、後にその本当の理由が判明します。
知らないで遺言書を勝手に作っちゃった長男は、超自業自得w
君が銀行マンとして成功しなかった理由がよく分かるよと言いたくなる話です。
それにしても、銀行っていろんな付き合いがあるんだなーと思いますね。
とまあ、何となくレビューしてみましたが、そろそろ池井戸さんの銀行以外の話も読んでみたいかも?
下町ロケット辺りは銀行ネタじゃないし、面白そうなので、棚で見つけたら借りてみたいです。
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