ホームズとレストレード一行は、サリー州ギルフォートにあるアーンズワース城に向かった。
堀の上を石橋で渡り、中庭を通って玄関ホールに入ると、執事のノリスとアーンズワース夫人が出迎えていた。
夫人は不機嫌そうにレストレードに尋ねた。
「この方はどなたですの?」
この頃のホームズは、一部の警察関係者や知り合い以外にはさほど知られた存在ではなかったので、レストレードが紹介したが、夫人は特に興味なさそうな様子だった。
そして二度目の捜索が開始されたが、前回と同じく、捜索には執事のノリスが付き添うことになっていた。
ただ、ホームズはこの時の夫人の態度に疑問を持った。
夫人は息子が城内にいることをはっきりとは否定しなかった。
明らかにウソをつくことを避けていたのだ。
やはりギルバートはこの城のどこかにいる!ホームズはそう確信していた。
ノリスの同行もホームズの確信を後押しした。
夫人の他に知るものがいるとすれば、この執事以外ありえないだろう。
前回の捜索の際も同行してたなら、レストレードはきっと、ノリスの無意識の行いを見て、ギルバートが屋敷にいるという直感が働いたのではないか?
それなら今回も、何か兆候が現れるのではないだろうか…。
そうして、三時間ほどかけて、上の階を隅々まで捜索したが、前回と同じように、何も見つからなかった。
ホームズたちは下の玄関ホールに一旦降りて、この後のことを相談した。
もう一度客間を捜索しなければいけないだろうが、そのためには再度あの厳格で不機嫌そうな夫人に面会しなければいけない。
レストレードはそれを考えて及び腰になっていた。
ふと、ホームズが小さな通路を発見した。
「あの道はどこに繋がっているんだ?」
ノリスに聞くと、彼は一瞬ためらって、「ご家族用の教会でございます」と答えた。
この時のノリスの動作を見て、ホームズはギルバートの居場所について確信した。
さて、ギルバートの行方は?
●というか、一度目の警察の捜査で運よく見つからなかったのだから、近所の親類にでも預けておいて、ほとぼりが冷めてから海外に行かせるようにしたら、絶対見つからなかったのに~。レストレードが二度目の捜査に来ることは事前に知ってたんだから。
●どうしても城内に置いておきたかったら、
使用人の1人に紛れ込ませておくという方法も…。従僕の制服なんか着てたら案外ごまかせるかも。身なりを汚くして厩にいるようにしても大丈夫そう。レストレードはギルバート本人の顔を見てるわけじゃないんだし。まあこのテの変装はホームズにはバレそうだけどw
●
家族用の専用教会があるなんてすごい~。ダウントンアビーでは、伯爵一家も村の教会に行ってたけど、教会の運営は伯爵家からの寄付金で成り立ってるとか何とか言うシーンがあったから、実体は専用教会みたいなものか…。ところでアーンズワース城には専用の牧師もいるのかしら?
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