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これまで読んだ本、新しく読んだ本の感想を適当に書いていきます。 ※あくまで個人の感想です!
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みんないってしまう
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ワイルド・スワン
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グスタフソンの宝石1/5

前作消えた帆船から一年以上…というかもうすぐ二年経ちますが、やっとThe Secret Notebooks of Sherlock Holmesの最後の話「グスタフソンの宝石」の抄訳が終了しました!
前の話も長かったけど、この話は第一章から四章まであって、さらに長かったです。その割には忙しくて出来ない時期があったりして、我ながらよく最後まで訳せたと思ってます…。

そんなわけで今回の話は5つくらいに分けて紹介したいと思います。
(原題はThe Case of the Gustaffson Stone)
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ラプラスの魔女



ガリレオシリーズ、加賀恭一郎シリーズが、本だけでなくテレビや映画でも大ヒットして以降、続々と映像化される東野作品。
今や日本一のベストセラー作家と言っても過言ではないでしょう。
10年ちょっと前(←具体的には直木賞受賞前)なんか、最新作でも数ヶ月後には図書館の書架に普通にあったなんて、信じられませんねぇ。
↑今や新作となれば予約待ち数百人で、順番回ってくるまで半年以上はかかる模様。ちなみにこれも発売は2015年5月なので2年以上前です。

この本のタイトルを初めて見たのは、映画の予告。
どうも近々公開されるらしいです。
その時は「ふーん、東野さん、また映像化されるんだ」くらいにしか思いませんでしたが、偶然図書館の返却棚で再びこの本を発見。
そういえば最近東野さんの本読んでなかったな~…と、久々に借りてみました。

内容はこちら↓

温泉地で起きた硫化水素事故。亡くなったのは著名な映像プロデューサーの水城義郎
最近40歳近く年下の女性千佐都と再婚し、介護施設にいる義郎の実母は、若い妻が財産ほしさに殺害したのではと疑ってる様子だが、温泉地なら硫化水素が突然どこかから噴出しても不自然ではないし、発生する場所を予想してそこに被害者を連れてくるなんて、通常は不可能。

しかし、その温泉地では、これまでそんな事故は起きたことはなく、町は死亡ニュースで観光客減の危機に…。
そこで、町の幹部たちは、専門家青江修介に調査を依頼して安全を保障してもらうことにしたが、偶然なのか故意なのか、方向が全く見えないうちに、違う温泉地でも似たような硫化水素の事故で死者発生。
今度亡くなったのは、売れない俳優、那須野五郎
水城義郎とは無関係のように見えたが、青江がよく調べると、共通の知人、脚本家の甘粕才生という人物が浮かびあがってきた。
さらに調べると、甘粕は数年前に硫化水素が原因で、妻の由佳子、長女萌絵を亡くし、長男謙人は植物状態になってしまったのだ。
この事件と温泉地での事故は関係があるのか?
そして青江が調査中に温泉地で出会った、不思議な能力を持つ女性、羽原円華は何者なのか?

うん、さすがに東野さんの作品、最後までぐいぐい読ませますねぇ。
読めば読むほど謎が出てきて、先が気になり、一気に読み終わりましたが、一方読み終わって冷静に考えるとあれこれ気になる点も出てきます。
というわけで、ここからはネタバレつっこみ開始。

そもそものきっかけは、七年前に起きた、甘粕萌絵の硫化水素自殺
妻と長男はこれに巻き込まれましたが、父親の才生はその時、水城義郎と北海道の日高にいて、ケータイで家族の不幸を知った模様…。
↑というのが表向きの事件ですが、これは甘粕の偽装工作
硫化水素自殺を装い、自分の理想とかけ離れた家族を抹殺しようとしたのが、事件の真相です。
で、北海道で甘粕のアリバイを担当したのが、水城義郎と那須野五郎。

…うーん、さすがにこれはいろいろと無理がありませんかね。
まず萌絵が硫化水素を自宅で発生させて自殺するというのが、おかしい。
彼女は中学の時妊娠騒動を起こし、高校になってからダンスに目覚めて多少まともになった…とのことですが、どう見てもわざわざ自宅で硫化水素を発生させるほど化学に精通しているとは思えません。
そりゃあ、ネットで調べたらいろいろ出てくるかもしれませんが、自殺したいならそんなまどろっこしいことせず、普通に首つりとか飛び降りでしょう。
実際いじめなどが原因で中学生や高校生の自殺がニュースになるときは、大抵そんな感じの方法です。
どうしても家族全員一気に殺したいと思うなら、一酸化炭素中毒辺りにしておけば、甘粕家の不幸な事故ということで、片付いたのに…。

それからアリバイ工作も何だか雑です。
北海道の日高地方でどこに滞在したのか分かりませんが、誰かの自宅とは書いてないから、きっと旅館とかホテルでしょう。
那須野が甘粕にそっくりという描写がないから、二人が似てるということもないはず。
警察が写真を持って聞き込みすれば、ホテルのスタッフは誰か一人くらい覚えてそうですが…。
ここは、設定段階で水城義郎が持っている別荘などにしておけばよかったですね。

というか、甘粕才生は有名な脚本家。その家族が大変な事件に遭ったのですから、ワイドショーは連日騒いだはずです。
一応失意を装っている本人が、マスコミのインタビューに応えるかどうかはともかく、甘粕才生の過去の写真や映像が新聞テレビに登場し、ひょっとしたら記者が日高地方の宿泊先などに行くかもしれません。
もちろん、家族の友人知人にも記者がインタビューに行き、いろんなことを聞き出したでしょう。
萌絵の中学時代の妊娠騒動や、妻が友人や実家に夫の異常な完璧主義についてグチを言ってた…などの重要な小ネタもそこで仕入れ、事件がきっかけで明らかになった甘粕一家の素顔と甘粕才生の裏の顔!という感じで、一大ニュースになったはず。

後に甘粕の書いたブログでは、理想の家族として、彼の望んだ、奥さんや娘、息子の理想的な姿が描かれていますが、このニュースの段階でマスコミが真実の家族を暴いているので、そもそも彼はブログを書いたかどうか…。
いや、ブログ以前に、このワイドショーの一連の報道がきっかけで、警察もただの自殺から甘粕による殺人を疑いそうです。
で、最初は乗り気だったけど後からビビり出した水城義郎辺りが警察の追及に負けて真実を告白し、甘粕は逮捕…。
ネットではマスゴミなどと叩かれがちなマスコミ業界、この事件に関してだけはいい働きをしてくれそうな予感がするのに、この作品内のマスコミは何もしなかったのでしょうか。
それとも、たまたま別の地域で東日本大震災レベルの災害が起きて、記者はみんなそっちに行ってしまったのでしょうか…。


…何だかキリがないので、甘粕事件に関するツッコミはこの辺にしておきます。

ちなみに、この物語のキーワードになるのは、硫化水素と脳科学
脳の一部分をいじることで、驚異的な能力が身に付けられる…という話が出てきますが、このテの脳外科関係は東野さんお得意のネタでしょう~。
古くは宿命(1990年)、変身(1995年)でも使われてました。
↑他にもあったかもしれないけれど覚えてない。
でもまあ、このネタを読むなら、変身の方が面白かったかな。

それから一番蛇足に感じたのは、親子の認識に関する話。
通常父親が子を殺すなんて有り得ないが、甘粕才生は生まれつきその父性行動がそなわっていないから、こういう事件を起こした…と書いてありますが、それは彼が特殊というわけではないのでは?
世の中、実の親による虐待は、結構多いですよ。
最近増えてきたとか言われてますが、それは社会的な認知件数が増えただけで、昔からそれなりにあったはずです。
正直その設定&説明はいらなかったような…。。
普通によくあるサイコパスで片付いた気がします。


そんなわけで、一応面白くは読めたけれど、そう何度も読み返した本ではないかな?
東野さんは以前どこかで、図書館に本を置くから作家の売り上げが伸びない…的なことを書いてたように思いますが、正直東野さんの本は面白かったけど、もういいやになることが多いので、衝動買いやジャケ買いはし難いと思ってます。
というか、最後に購入した東野さんの本は容疑者Xの献身。昔は白夜行とか幻夜、加賀恭一郎シリーズの短編集などを買ってたんですけどね~。

最近の著作は、図書館の書架や返却棚にある時だけ一応読むけれど、買う気はしません。
そろそろ昔の作品を彷彿させるような、重厚な本を書いて欲しいです。

シャーロック・ホームズ秘宝の研究



数年前にシャーロックというBBCのドラマにはまって以降、シャーロック関連のみならず、元ネタのホームズ関連の書籍や雑誌等を購入したり図書館で借りたりしてましたが、それらの本を読むといい確率で登場する名前が北原尚彦さんという名前。

雑誌なら監修に名前があったり、中のエッセイを担当してたり、気が付いたら翻訳にも名前があったりして、この人一体誰なのさ!?と調べたところ、有名なシャーロッキアンだったことが判明。
で、ちょうどその頃、図書館の返却棚に北原さんのホームズパスティーシュシャーロック・ホームズの蒐集を見つけて、「へぇぇ、こういうオリジナル小説っぽいのも書くんだ~」とその後ホームズ連盟の事件簿ホームズ連盟の冒険と、次々に読破(全部図書館ですw)。

本を読み終わった後にやりがちなのが、アマゾンで他の人のレビューを読むこと。
「この人はこう思ったのか~」とか「私だったらこの話が好みだったな」などなど…感想を共有するというのは、現代ならではの楽しみ方ですよね。

そしてアマゾンのお約束「この商品を買った人はこんな商品も買っています」にてあがってきたのが、こちらの秘宝の研究
確か発売直後くらいの話で、もちろん図書館にはナシ。
タイトルから勝手にパスティーシュだと思い込み、たまには買ってみるかと何も考えずに購入ボタンを押したわけですが…。

到着した本をパラパラ見てびっくり!
パスティーシュではなく、北原さん所有のホームズ関連グッズ紹介本でした。

ええー、小説じゃないのかよー。
…と一瞬がっかりしました。
図書館から借りた本だったら、読まずに返却した可能性大ですが、今回は購入。
買ったからには読まないともったいないと読み始めたところ…これが予想外に面白かったです。

そもそも人の持ってるグッズ紹介なんぞ面白いものかねーとつい思ってしまうわけですが、北原さんの購入した経緯、グッズにまつわるエピソードなどが、どれもこれも面白すぎ~。
しかもシャーロック関連なら、自分もそこそこ読んだり買ったりしてるから、知ってるものが出てくるとニヤリとしたり…。

しかしホームズ関連ってどこにでもあるものですねぇ。
腰痛の本にまで登場するんだから、びっくりです。
それから英語の原文をそのまま機械翻訳した意味不明本「の猟犬バスカヴィル家」(←原文)!あれを日本語版で購入した人って北原さんくらいではないだろうか!!
アマゾンの本は、(本によりますが)発売してしばらく経つと「なか見!検索」という、最初の数ページを試し読み出来るシステムが存在しますが、この本にそれがついてたら、まず誰も買わないでしょうね~。
ただし北原さんだけは、なか見!検索を見ても購入しそうな気がしますw

とまあ、この本で北原さんのグッズ紹介本の面白さに目覚めてしまった私、その後同じ系統のシャーロック・ホームズ万華鏡を読み、SF関連の古本紹介本のSF奇書天外SF奇書コレクション、珍しい児童書ばっかり集めた発見!こどもの古本など、最近は忙しくご無沙汰気味だった図書館に足しげく通い、次から次へと借りまくり~。

が、どの本もほとんど数年前の発売で、最近借りたキテレツ古本漂流記に至っては20年前。当然図書館の書架には置いてなくて、スタッフに依頼して書庫から取り寄せてもらうことに。
最近貸し出しや返却は、自動で出来るようになり、カウンターの利用はほぼ皆無ですが、書庫からの取り寄せだけはカウンターからお願いするしかなく、しかも郊外の図書館故、カウンターにいるのは大体同じようなスタッフさんたち。同じ著者の本を1~2冊ずつ、数日おきに頼んでいる私は、そろそろスタッフさんに顔を覚えられそうです…。

機長、事件です!



最近なかなか新規の作家さんの本を読むことがないのですが、図書館の返却棚で見つけて衝動的に借りてみました。

主人公は間宮次郎
ニッポン・エアラインで訓練を積んで、晴れて副操縦士の資格を得た新人パイロットですが、初めての国際線勤務にて、氷室翼という美人で有能な機長と副機長の幸村操雄とフランスのシャルル・ド・ゴール空港の往復をすることに。
平穏に往復勤務が終わるかと思いきや、ミステリのお約束通りいろいろな事件が起こるわけですが…。

まず一番興味深かったのは、航空業務の細かいあれこれ。
そもそもパイロットになる過程はどんなの?とか、パイロットの定番持ち物って何?とか、飛行機に乗る前の打ち合わせの様子とか、コックピットの中でのやりとりとか、とにかくよく調べてあります。
作者のご両親とお姉さんがパイロットだそうで、そこは納得。

飛行機の業務の様子といえば、映画やドキュメンタリーでもたまに見かけますが、その場合ほとんどが事故やハイジャックの時。
そういう意味で考えると、何も起こらない通常業務の様子は、ほぼ見ることもないので、面白く読み進めました。

ただ逆に言うと、面白かったのはそこだけかな~。
登場人物の魅力とか、ストーリーの面白さ、ミステリの完成度などは、非常にドンマイな気がします。
美人で有能だけど口が悪い氷室翼のキャラも、何だかどこかで見たようなキャラだし…。
大体今どきたわけなんて言うキャラ、アニメでもそうそう出てこないのでは!?
それに氷室さんと幸村さんの関係も何だかな~というか、今さらそのオチ…という感じ。
せっかく面白い舞台を用意したのに、イマイチそれを生かしきれてない気がしました。


正直、図書館で借りたからいいようなものの、これを定価1500円で買う価値があるかどうかと聞かれたら、自分なら買わないレベルでしょうね。
ブックオフで100円でもちょっと考えるかもしれない。
そもそも読み返す機会があるかどうか。

とはいえ、二時間くらいのちょうどいい暇つぶしにはなったし、今後飛行機に乗ることがあったら、機長アナウンスや、離陸の時の飛行機の動き、着陸の様子などにも注目したいと思います。

「本が売れない」というけれど



昨今、本に関して聞くニュースといえば、大抵出版不況ネット通販に押されて書店廃業など、先行き明るいとは言えないニュースばかりですが、そこら辺本当のところはどうなのよ?という業界内部の話を詳しく解説しているのがこの本です。

話はこれまでの書店の経営の歴史や、一般人には見えない取次の役割、そしてどうして不況と言われるようになったのか…などなど、相当分かりやすく書いてて、著者の考察なども非常に興味深いです。

まず出版不況と一口に言っても、ただ本が売れなくなったわけではなく、大きな原因と言えるのは雑誌不況
雑誌から得られる広告収入があるから、出版社は本が売れなくても経営が成り立ち、雑誌が売れることによって町の小さな書店の経営を支えてきたわけですが、最近はその雑誌が売れなくなってきた…というのが大きな原因のひとつ。
雑誌が売れなければ本で収益をまかなうしかなく、出版社はこれまで以上に新刊を出さなければいけなくなり、同時に本を書く作家にも大きな負担がかかることに…。
そして出版社や作家の労力が増えた割には、そんなに本が売れまくるわけではない。
なぜなら人々における読書率…つまり本を読む人の割合は、今も昔も大きく変わらず、変わったものと言えば、若者世代の減少と、団塊世代が引退したことで以前より新刊を買わなくなったことくらいか。

そして出版業界の天敵…かもしれないブックオフやアマゾンの台頭についても細かく解説しています。
面白いのはアマゾンがこれほど日本でヒットするとは、誰も予想してなかった点。

・本を買うきっかけはジャケ買いが多いから現物が見れないネットからは買わない
・日本は全国津々浦々に書店があるからネット書店は必要ない


今思うと、本当に浅はかな予想だと思わざるを得ません。
というより、この程度の予想しか出来ないから、ロクな対策も立てられず、時代の波に乗れず現在「出版不況」などと呼ばれるんじゃないですかね。

ところで著者はアマゾンの成功について「とにかくない本が(ほとんど)ない」「注文してすぐ届く」「顔が見えないから恥ずかしい本でも買い易い」という点を取り上げてますが、私はアマゾンの成功のきっかけはそこではないと思います。

私もかなり…というか、欲しいものがあるととりあえずアマゾンを検索するわけですが、アマゾンの機能の中で一番売り上げに貢献していると思うのはこの商品を買った人はこんな商品も買っていますこの商品を見た後に買っているのは?の項目ではないでしょうか。

あるドラマのDVDを検索する→ふとこの商品を買った人はこんな商品も買っていますを見るとそのドラマに関する関連本が…。へぇ~こんなの出してるんだ…とクリックすると、さらにこの商品を~で面白そうな関連本が…。
これを繰り返していると、5回に1回くらいは商品をほしいものリストに入れてしまうし、値段によってはそのまま購入してしまうことも。

アマゾンが何より優れているのは、ユーザーが潜在的に欲しいと思っている商品のところまで巧みに誘導する技術でしょう。

そういう意味では、一般の本屋さんも、最近は上手に関連本を棚に並べるようになりましたが、正直まだまだ探し難いと感じることが多いです。

ちなみに他の業界では昔からこの売り方を活用してますよね。
例えば洋服屋さんでよく見かける、商品でコーディネートされているマネキン。
あれを見て「このジャケットこんな風に着こなすのか」と参考にするだけでなく、時には「あのマネキンの付けてるネックレスちょっとかわいい」などと、洋服ではない商品に目がいくこともあります。

家具屋さんでも、店内の一角に商品を上手にインテリアしてある光景をよく見かけます。
ああしておけば部屋のイメージが分かりやすいし、テーブルを買った時に椅子を購入してくれる確率も増えるでしょう。

一方本屋はどうだったか。
大型書店はともかく、昔の一般的な町の本屋を思い出すと、とりあえず新刊や雑誌だけを表に出してあとは出版社順、作家順に並べる程度のことしかしてなかったように記憶しています。そして立ち読みをしてる人がいるとあからさまに迷惑そうな顔をして追い出したり。
アマゾンを始めとするネット通販、電子書籍が出る前ならそれでもお客さんは本を買ったのかもしれませんが、それは本を買う手段がそれしかなかったからです。
一度欲しい商品まで楽々誘導してもらうような経験をしてしまうと、もう昔には戻れないのが人間というものでしょう。

特に最近数を減らしている町の本屋さんは、そのことに気づくのが遅すぎたのではないでしょうか。


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