この本は、私が小学生の頃、初めて買ってもらった「大人用」の文庫本です。
まあきっかけは、世界名作劇場でアニメ化されたのがきっかけなんですけどね。
内容は、アメリカの下町で育った、普通の7才の少年セドリックが、
ある日突然イギリスの伯爵の跡継ぎに抜擢されるとこから始まります。
そもそも彼の父親は、伯爵家の三男だったのですが、上二人の兄が相次いで死に、セドリックの父親もアメリカで母子を残して死んだばかり。
残った男の子はセドリックしかいないから仕方ないよね~という感じで抜擢されるのです。
この本の面白いとこは、
イギリスvsアメリカという構図。
現ドリンコート伯爵は、大のアメリカ嫌いで、セドリックの父親がアメリカで結婚したときは、血管ブチ切れそうなくらいの怒りっぷり(そして絶縁w)。
一方セドリックの住む下町の友人店主ホッブスさんは、大のイギリス嫌い。
この両者の相手国に対する表現が、他人事ながら何ともおかしいww
でまあ、セドリックと母親は、イギリスのドリンコート城へ移住するのですが、とにかく伯爵がアメリカ嫌いなため、アメリカ人である母親なんか顔も見たくない状態。
セドリックだけが城に住み、母親は近くのコートロッジに滞在することになります。
セドリックは、ハンサムな父と美人な母を受け継いだ、かなりの美形少年。
しかも心優しい両親に大事に育てられたため、下町育ちとはいえ、とても育ちがよく、純粋でとにかく人を疑うことを知らない子供。
一方伯爵は、人間嫌いの子供嫌いで、領民どころか城の奉公人からも嫌われまくっている、セドリックとはある意味間逆の人物。
この二人が図らずも一緒に暮らすことになるのですが、純粋無垢なセドリックと接するうちに、伯爵の中にある変化が現れるのです。
人間の性善説を信じたくなるような、心温まる本ですね。
「現実にこんな子供いるわけないよなぁ」とか思いつつ、何度も読み返しました。
で、買ってから25年以上経った今も、ボロボロになって、まだ手元にあるのです。
☆個人的にツボなシーン☆
ドリンコート伯爵の従僕でトマスという人が出てくるのですが、そのトマスが奉公人仲間(多分)ジェーンに仕事のグチを言い、それを聞いたジェーンが領内に住む家族に全部暴露w
その内容がこちら↓
「それに、トマスさんがうちのジェーンに話したことだけど、殿様(伯爵)の言葉遣いのひどさったら、どんな奉公人だって、がまんできないほどですとさ――つい二日前にも、殿様はトーストを乗せたお皿をトマスさんに投げつけなさったんですって。食事やお給金が結構だし、奉公人同士のお付き合いがとっても上品だからいいようなものの、そうでなけりゃ一時間とたたないお暇をいただきたいって、申し出るところだったそうだよ!」上司(経営者)が最悪でも、福利厚生と給料と人間関係に免じて、現状にガマンするトマスw
国も時代も違うのに、一社会人として同情&共感しちゃいます。
でも、お給金が結構ならいいじゃないですか。私なんか…(以下略)。
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