船の名や船体の雰囲気を変える作業を全員で無事に終えた後、何事もなかったかのようにロッテルダムへ向かうルーシー・ベル号。
しかしある若い乗務員のビリー・ホィーラーだけは様子が違っていた。
彼は沈没直前に立ち寄った港で好きな子が出来てしまったのだ。
もちろんこの詐欺に加わる以上、彼も名を変え別人として生きるわけだから、もう二度と彼女には会えない。
ビリーは今更ながら事の重大さを知り、おじけづいた。
そして誰彼かまわずそのことで絡み、しまいには「金などいらないから元の生活に戻りたい」と言い出す始末。
そんな彼の姿に我慢出来なくなった他の船員たちと殴り合いになり、結果ビリーは頭も顔も血だらけで意識不明の状態に…。
みんなが呆然とする中、船長はビリーの様子を確認してこう告げた。
「ビリーは死んだ。だか仕方ないことだったのだ」
そしてみんなで彼を帆布に包み、ロープで縛り、海中に埋葬することに。
埋葬の直前、コルベットはせめてもの供養にと、自分のお守りをビリーの胸元におこうとしたが、その瞬間、彼は驚くべきことを発見する。
「ビリーはまだ生きていたんです!」
ビリーの胸は上下していた。まだ息があるのだ!
しかし船長の方を見ると、船長は「黙って言うことを聞け!さもないとお前も殺すぞ!」という合図をするかのように、手刀で自分の首を切るそぶりをした。
船長もまだビリーの息があることを知って、トラブルを収める為にビリーをあえて葬ることにしたのだ。
コルベットは、このことをずっと気にかけていた。
ビリーはまだ15才の陽気な若者で、コルベットの死んだ息子にどことなく似ていて親近感を持っていた。
そしてコルベット自身重い心臓病を患っていて、もうそんなに長くは生きられない。
それならば例え自分が詐欺でつかまったとしても、真実を白日の下に…という決意でホームズの下にやってきたのだ。
さて、この話を聞いたホームズの見解は…?
●船長のチェーファーは、この保険金詐欺の実行に関わる船員を慎重に選んだ…って書いてあったけど、ビリーみたいな
若くて軽そうな子を選んじゃダメでしょw
●しかし計画の破綻は、大体こういう些細なトラブルが原因になりがちですよね。
●ちなみにコルベットがここに来たいきさつは、ルーシー・ベル号でけが人が出てイレギュラーにロンドン港に停泊。けが人に付き添ったコルベットが病院で待ってる間、御者との雑談の中で紹介されたのがホームズというわけで…。
●ホームズの依頼人って、結構そんな感じの
紹介されてきた系の人多いですよね。でもまあ221Bって看板とか出してるわけじゃないし、わざわざ二階に上がらなきゃいけないし、誰かの紹介じゃないとなかなか入りにくそうな感じはします。
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