東野圭吾さんの著作の中でも、有名なシリーズキャラクター、加賀恭一郎の登場する本です。
えーと、確か加賀さん初登場の「卒業-雪月花殺人ゲーム」では大学4年生、作中進路を聞かれて教師になる予定だと答えてますが、次に登場する「眠りの森」では既に刑事。
結局いつ教師をやっていつ辞めたんだ?というささやかな疑問が、「悪意」の中で少しだけ語られます。
「悪意」では、加賀さんは刑事として登場しますが、事件の関係者が何と、教師時代の職場仲間。
そこで昔の話と、教師を辞めたきっかけなどが登場するのです。
この話、ミステリの分類で言うと
「ホワイダニット(Why done it?)」と呼ばれる部類に入ります。
つまり重要なのは、
犯行の動機。序盤で事件が起き、犯人は速攻逮捕されます。が、ここからが本題。
何故親友だったはずの男を殺したのか?
犯行の本当の目的は何なのか?
中盤まで「ふむふむ…」と普通に読み進めますが、後半からガラリと事件の様相が変わります。
二人の本当の関係が見えた時、タイトルの
「悪意」という言葉が、ドーンと響いてきます。
これこそ、本当の悪意!正に心の闇。
その名誉は、殺人を犯してでも、手に入れたかったものなのか?と、問いかけたくなりますが、最後の加賀さんの考察を聞くと、おそらくそれでさえ、本当の目的ではなさそうな気がします…。
多分東野さんの本のどこかで読んだと思うのですが、このフレーズが頭をよぎりました。
「人間、誰からも憎まれない人なんていない。
例え誰にでも好かれるような、完璧な人格の人がいたとしても、そのこと自体が嫉妬され、憎まれるきっかけになることもある」個人的には、これは加賀さんのシリーズの中ではダントツだと勝手に思ってますw
が、特にシリーズを意識しなくとも、単品でも充分楽しめる作品です。長編とはいえ、そんなに長くないので、割とすぐ読めるし。
義母が持っていて、いつでも借りられるので買ってないけど、そうじゃなかったら絶対購入してた本ですね~。
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