私は、音楽は、基本的に
女性歌手が好きなんですよね~昔から。
男性のも聞かないことはないけれど、どちらかというと単発的。
邦楽だけでなく、洋楽もその傾向があって、その辺は何だか不思議です。
一方作家の好みはというと、どちらかというと男性作家の方が多いかな?
国内海外問わず、7:3くらいで男性の方が多い気がします。数えてないけどw
で、この本の著者山本文緒さん。名前だけ見ると中性的ですが、女性の作家さんです。
その山本さんの短編集がこちらの本。
短編集とはいっても、一つ一つが短くて、大体一つ18ページ程度。
星新一さんのショートショートほどではないですが、一遍あたり数十分で読み終わるので、ほんのちょっとした時間に暇つぶし出来ます。
とはいえ、
短くても内容は思ったより深いのが特徴的。
タイトル通り、全編、登場人物が作中に何かを失うことをテーマにしています。
あるいは失いそうになって、手放すべきか迷ったり。
その辺りの心の動きが、正に文章と文章の間に細かくちりばめられていて、寂しい気分になりつつも、後味は悪くない、不思議な読後感です。
個人的に好きな話は、「裸にネルのシャツ」「みんないってしまう」「愛はお財布の中」「イバラ咲くおしゃれ道」etc…。
特に表題作
「みんないってしまう」が印象的。
主人公(女性)は、東京の街中でばったり幼馴染の絵美と会い、お茶をしながら近況報告をすることに。
そして話は学生時代にさかのぼり、初めての恋人の話になるのですが…。
なかなか上手な複線で、
あの言葉が出てくるまで全然気づきませんでしたww
気づいてから読み返すと、女性二人の光景が全然違う様子に見えてくるし!
これは小説でなければ出来ない演出ですね。ドラマじゃあの驚きは出せないだろうなぁ…。
最後にこの話から抜粋。
「ひとつ失くすとひとつ貰える。そうやってまた毎日は回っていく。幸福も絶望も失っていき、やがて失くしたことすら忘れていく」この文章こそ、全編に共通するテーマだと思います。
どの話も、ほんのちょっと空いた時間に、軽くお茶を飲みながら読むのがちょうどいいですよ♪
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