毎回どこかに登場する女性、
糸井美幸。
最初はただの中古車販売店の事務員だったのに、雀荘のアルバイト店員になり、料理教室に現れ、金持ちの老人の結婚相手になり、そして…。
と、タダの女性が、周囲の人の目を通して、だんだんのし上がっていく様子を描いてます。
後半の雰囲気は何となく、東野圭吾さんの「白夜行」や「幻夜」っぽいような…。
しかし白夜行や幻夜は、都会の華やかな場所を舞台にし、金持ちのスケールもデカいけれど、こちらは
地方都市が舞台で、結局最初から最後までその舞台を出ることはありません。
だから出てくる金持ちも、地元の不動産屋さんとかそんな感じだし、美幸が夜の女になる辺りも、
地方都市には珍しい華やかな飲み屋…というだけで、そこら辺が、妙に現実的というか何というかw
そして
知り合いの知り合いは知り合いかもしれない…という、狭い地方社会を、上手く表現していますね。
そういえば同じ奥田さんの作品
無理が似たような地方を舞台にしてますが、雰囲気はよく似てます。
あちらはひたすら暗い感じですが、それよりはこっちの方が読み易いかも?私はこっちの方が好きだな。
それにしても、
絶世の美人ではないが、肉感的でイイ女な美幸、一体どんな感じなんでしょうねー。
もう次から次へとオヤジを転がしちゃって…。しかもそのオヤジ共は、みな風呂場で居眠りをして死亡…。
しまいには警察の捜査が入るけれど、それも地方ならではの理由で何だかんだとうやむやになり、結局最後に美幸はついに目的を達成か!?
作品の描かれた時期、ちょうどスカイツリーオープンの話題でにぎわってたんでしょうね。
最後のスカイツリーの女の描写で、そんなことを思い出しました。
ところで、作中出てくる各章の人々、場合によっては結構な窮地に立たされちゃっているけれど、その後どうなったのか気になりました。
そこら辺、ちょいちょい美幸から語られるかと思いきや、それはスルー。
中古車販売店へのクレーム(というか恐喝w)は結局成功したのか!?(by中古車販売店の女)
秋山大輔は、その後奥さんと上手くやっているのか!?(byマンションの女)
平塚博美とその家族は、一体どうなったのか!?(by柳ヶ瀬の女)
広本直樹は、やはり美幸の色仕掛けにハマッてしまったのか!?(by和服の女)
鹿島尚之の警備部への出世はどうなったのか!?(by内偵の女)
そして、美幸は本当に2億円を手に入れたのか!?(byスカイツリーの女)…etc
そういえば
無理も微妙~なとこで話が終了し、あとは読者の想像にお任せって感じでしたけど、これもやっぱり、登場人物のその後は読者の想像任せなのかしら?
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