昔、東野圭吾さんの作品を図書館から借りまくっていた時期があって(当時は直木賞を受賞する前だったので最新作まで割と普通に借りられました)、その時
隣にあったこの著者の本を、東野さんの本だと勘違いして借りたのが、そもそものきっかけだったように思いますw
借りてから、間違えたことに気づいたのですが、もう出口に向かってて、今更返すの面倒だし…と、そのまま家に持ち帰って、ついでに読んでみることに。
舞台は首都圏にある、海沿いのごく普通の地方都市、
烏賊川市(いかがわし)。
昔イカの水揚げが有名だったらしく、そのイカを運ぶ烏賊川が街の真ん中を流れ、市の名前もそこが由来…という、
その設定必要なのか?と思ってしまうほどの、丁寧な舞台設定w
事件はそんな奇妙な市内にて、唐突に起こります。
主人公は、彼女と別れたばかりの大学4年生戸村流平。先輩茂呂耕作の紹介で、就職が決まったばかりの、ごく普通の大学生。
流平は、茂呂耕作に映画鑑賞会をしようと誘われます。何しろ映画マニアの彼のアパートには防音室があって、大音量で映画や音楽がやり放題!
流平のリクエストは
「殺戮の館」。誰に聞いても「長ったらしくてつまらない」という、不名誉なお墨付きの映画ですが、彼はそれを見たことがないので、今回どうしても見てみたいと、レンタル屋で借りて、茂呂耕作の家に行きます。
家に到着後、流平はシャワーを借りて、7時半から鑑賞会スタート。映画は2時間半なので、終わったら10時。その後、耕作は酒とつまみを買いに近所の酒屋に行き、途中で飛び降り自殺に遭遇したと流平に報告します。
警察が大勢来てて…と話す耕作をよそに、流平は自殺現場が、
元彼女のアパートじゃないかとドキドキ。そうこうしながら二人で酒とつまみを食べたあと、耕作はシャワーをあびに風呂場へ。
ところが、いくら待っても耕作が出てきません。不審に思った流平が風呂場のドアを開けると、そこには
息絶えた耕作の姿が!!しかも翌日になって、前夜耕作の目撃した自殺が、実は
飛び降り自殺を偽装した殺人事件で、被害者はまさかの元彼女。
一体誰が元彼女と耕作を殺したのか!?
そして殺人の容疑者となってしまった流平の運命は??これ、著者のデビュー作らしいのですが、話はテンポよく進み、飽きさせません。
映画を利用したトリックも、ありがちだけど、なかなか面白いし。
個人的には「殺戮の館」がどんな映画なのか気になります。見てみたい~ww
オリジナルではなく、流平の見た「“面白い”殺戮の館」ですが(爆)。
ちなみに、この話、探偵役は流平の元義兄、
鵜飼杜夫かと思いきや、事件の大筋を解明したのは、警視庁の
砂川警部。
探偵が登場しながらこのパターンは、ちょっと珍しいですね。
つうか、割合なら、砂川さん7割、鵜飼さん3割で、探偵としては、イマイチ心もとないような…w
ただ、この話のメイントリック、時計が主なポイントになっているのですが、その割にはあれでよく流平が途中で時間を確認しなかったなーというのは疑問。
彼は携帯電話を持っていて、鑑賞会中は電源を落としてたのだから、鑑賞会が終わって耕作がつまみを買いに行ったら、その隙に電源を入れる可能性はなかったのかな?
そこは、もうひとアイデアあってもよかったかなー。腕時計の話に加えて。
とはいえ、この話の時代の携帯電話は、電話帳機能もほとんどないし、メールなんてついてなかったようなので、どちらかというと、発信専用だったのかしら。
少なくとも、今ほど携帯電話が身近ではなかったのでしょうね。
何しろ友人の牧田に電話するのに、わざわざ手持ちのアドレス帳を調べているんだし。
(ここら辺で時代を感じましたw)
というか、この話で考えると、
流平は携帯電話を持ってなかったというほうが、よくないですかね?
メールもない時代の携帯電話なら、まだ持ってない派が多数だったろうから、そんなに不自然ではないし。
…とまあ、こんな感じでついでに借りて読んだ、この著者の本ですが、これが結構面白かったので、その後も気が向くとあれこれ借りて読んでます。
気がついたら、烏賊川市のシリーズも2014年現在で6冊出てるなんて、驚きだ…w
いや、一番驚いたのは、この著者、後に
謎解きはディナーの後でが大ヒットし、一躍
有名作家になっちゃったことかな。
あの当時は間違えて借りたのに、今では
予約しなきゃ借りられない著者に…!!
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