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これまで読んだ本、新しく読んだ本の感想を適当に書いていきます。 ※あくまで個人の感想です!
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目次
50音順になってます

悪意
伊良部一郎シリーズ
噂の女
往復書簡
お江戸でござる
オリンピックの身代金
オレたちバブル入行組
折れた竜骨
顔 FACE
化学探偵Mr.キュリー
仮想儀礼
かばん屋の相続
機長、事件です!
Q&A
救命センター当直日誌
金融探偵

コモリと子守り
櫻子さんの足下には死体が埋まっている
さまよう刃
事故―別冊黒い画集Ⅰ
死体置き場で夕食を
十角館の殺人
しまのないトラ
Sherlock: A Study in Pink
シャーロック・ホームズシリーズ
シャーロック・ホームズ秘宝の研究
小公子セディ
小公女
真珠夫人
新世界より
ずっとあなたが好きでした
ストロボ
世界の終わり、あるいは始まり
ダウントン・アビーに於ける職業指南書
武田信玄(あかね文庫版)
地球進化 46億年の物語
冷たい川が呼ぶ
天璋院篤姫
トッカン 特別国税徴収官
トッカン The 3rd おばけなんてないさ
トッカン vs勤労商工会
猫のなるほど不思議学
パーカー・パインの事件簿
初ものがたり
福家警部補の挨拶
ブードゥー・チャイルド
ホームズの伝記比較
ホームズ・パロディ(J・トムスン)
星新一のショートショート
「本が売れない」というけれど
ぼんくら
マスカレード・ホテル
マンガ版シャーロック・ホームズ
万能鑑定士Qの事件簿のシリーズ
「見たいテレビ」が今日もない
ミッキーマウスの憂鬱
密室殺人ゲーム王手飛車取り
密室の鍵貸します
みんないってしまう
モンスター
夜行観覧車
ラプラスの魔女
霊柩車No.4
ワイルド・スワン
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噂の女



毎回どこかに登場する女性、糸井美幸
最初はただの中古車販売店の事務員だったのに、雀荘のアルバイト店員になり、料理教室に現れ、金持ちの老人の結婚相手になり、そして…。

と、タダの女性が、周囲の人の目を通して、だんだんのし上がっていく様子を描いてます。
後半の雰囲気は何となく、東野圭吾さんの「白夜行」や「幻夜」っぽいような…。
しかし白夜行や幻夜は、都会の華やかな場所を舞台にし、金持ちのスケールもデカいけれど、こちらは地方都市が舞台で、結局最初から最後までその舞台を出ることはありません。
だから出てくる金持ちも、地元の不動産屋さんとかそんな感じだし、美幸が夜の女になる辺りも、地方都市には珍しい華やかな飲み屋…というだけで、そこら辺が、妙に現実的というか何というかw

そして知り合いの知り合いは知り合いかもしれない…という、狭い地方社会を、上手く表現していますね。
そういえば同じ奥田さんの作品無理が似たような地方を舞台にしてますが、雰囲気はよく似てます。
あちらはひたすら暗い感じですが、それよりはこっちの方が読み易いかも?私はこっちの方が好きだな。

それにしても、絶世の美人ではないが、肉感的でイイ女な美幸、一体どんな感じなんでしょうねー。
もう次から次へとオヤジを転がしちゃって…。しかもそのオヤジ共は、みな風呂場で居眠りをして死亡…。
しまいには警察の捜査が入るけれど、それも地方ならではの理由で何だかんだとうやむやになり、結局最後に美幸はついに目的を達成か!?

作品の描かれた時期、ちょうどスカイツリーオープンの話題でにぎわってたんでしょうね。
最後のスカイツリーの女の描写で、そんなことを思い出しました。


ところで、作中出てくる各章の人々、場合によっては結構な窮地に立たされちゃっているけれど、その後どうなったのか気になりました。
そこら辺、ちょいちょい美幸から語られるかと思いきや、それはスルー。

中古車販売店へのクレーム(というか恐喝w)は結局成功したのか!?(by中古車販売店の女)
秋山大輔は、その後奥さんと上手くやっているのか!?(byマンションの女)
平塚博美とその家族は、一体どうなったのか!?(by柳ヶ瀬の女)
広本直樹は、やはり美幸の色仕掛けにハマッてしまったのか!?(by和服の女)
鹿島尚之の警備部への出世はどうなったのか!?(by内偵の女)
そして、美幸は本当に2億円を手に入れたのか!?(byスカイツリーの女)


…etc

そういえば無理も微妙~なとこで話が終了し、あとは読者の想像にお任せって感じでしたけど、これもやっぱり、登場人物のその後は読者の想像任せなのかしら?
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しまのないトラ



大昔、本屋さんをぶらぶらしてて、何となく暇つぶしに手に取った児童書です。
※その時既にいい大人だったのに、何故児童書なんか手に取ってしまったのか未だに不明w

この本は、みんなとちょっと違っているけれど、各自のやり方で自分の居場所を見つける…というテーマに沿って、5つのお話が収録されています。

最初の話はつのがないバイソン。で、次はしっぽのみじかいマングース。次は足のあるヘビ。次は八本足のイカと十本足のタコ。最後は表題作しまのないトラ

どれもみにくいアヒルの子を彷彿させるタイトルですが、あのアヒルの子はいじめられる自分の運命を受け入れ、ひたすら成長するのを待っていましたが、この本に出てくる動物(その他)は、ただ運命を受け入れるのではなく、どうにかして現状を打開するべく、奮闘するのです。

私が一番好きな話は、やはり表題作のしまのないトラ
※以下内容はうろ覚えです。

トラは黒い縦ジマを利用して茂みや林に隠れて獲物を捕りますが、このトラにはそのシマがありませんでした。
そのせいで、上手く隠れられず、狩りは失敗だらけ。
仕舞いにはお腹を膨らます為に、バナナを食べる始末。
仲間のトラにもバカにされ、誰も相手にしてくれません。

ある日いつものようにバカにされていると、頭上からワシの声がしました。
「お前は情けないヤツだなー」
「いいか、お前が獲物を捕れないのは、シマがないからじゃない」


そしてワシは、空を飛び、同じく空を飛んでいた小鳥を捕獲し、トラの前に落とします。
「これはお前にやる。これを食べながら、自分の身の振り方をよく考えろ」

トラは食べ物を恵んでもらったのが、悔しくてなりませんでした。
しかしお腹が空いてたまらなかったので、その鳥を食べ、ワシに言われたことを考えました。

ワシは、隠れて獲物を捕ったわけではない。
小鳥にもワシの姿は見えていた。
でも小鳥はワシのスピードに負けて、逃げられなかったのだ…。

その日からトラは、走る練習をはじめました。
隠れられないなら、獲物より早く、獲物より長く走ればいい。
毎日毎日ひたすら走る練習をするトラを、周りの仲間はいつものようにバカにしますが、もうトラは気にしませんでした。

そして、練習の成果が実り、ついに自分の力で獲物を捕れるようになったトラ。
その後、みんなの住んでいたジャングルに、異常気象が起こり、茂みや林が枯れてしまうという事態が発生しますが…。


出来ないことにこだわるのではなく、新たな方法で生き抜く重要さ。
ほんの少し、角度を変えてみることの重要さが、子供にも分かりやすく表現されています。
いや、子供だけでなく、大人だって人生に行き詰ったら、読んでみるといいかもしれませんね。

というか、シマのないトラは、小学校の教科書に入ってもいい話じゃないかな~と勝手に思ってますw

パーカー・パインの事件簿



あなたは幸福ですか?
幸福でない方は、パーカー・パイン氏にご相談下さい。


こんな広告を新聞に出し、依頼人を“幸福”にするために、あの手この手を駆使する何でも屋、パーカー・パイン。
大柄で頭は禿げて、目は小さく、度の強い眼鏡をかけたパイン。
訪れた不幸な依頼人は、何故かこのパインの穏やかな微笑みを見ると一瞬で気を許し、自分の悩みを相談し、大金を払って幸福を手に入れようとします。

クリスティの作り出した探偵といえば、ポアロやミス・マープルなどが有名ですが、このパインもなかなかの名探偵。
35年間、官庁で統計の仕事をしてたという経歴から、統計的に考えることを得意とし、依頼人の様子を見て一瞬で悩みを当ててしまうとこなんか、ちょっとホームズっぽいw


話は全部短編になっているし、毎度特徴的な依頼人が登場するので、飽きません。
全編12話。そのうち最初の6話は事務所に依頼人が訪れる形式で、残りの6話は、中東を旅行するパインが、ツアー客のトラブルを解決する形式になっています。
私は最初の6話の方がどちらかというと好きなのですが、評価を見ると後半の方が面白いという人もいて、この辺りは好みの問題なんでしょうね~多分。

作者まえがきによると、クリスティのお気に入りは不満な夫の事件金持ちの夫人の事件で、訳者あとがきによると、訳者の高評価はシラズの館だそうです。

私もクリスティと同じく、金持ち夫人の事件がお気に入り。

この話は、大金持ちの未亡人が依頼人になるお話ですが、夫婦共に貧しかった若い頃を得て、商売が成功し、莫大な財産を作りあげたライマー夫婦。
ところが夫が死去し、子供もなく、お金だけを有り余るほど持っている未亡人は、そのお金で自分を幸せにしてほしいとパインの事務所に相談に来ます。
欲しいものはすべて手に入れられるけれど、何も欲しいと思わない。
しかし苦労して得た財産は、寄付なんかせず、全て自分のために使いたいというライマー夫人。
そこでパインは、ある作戦を実行しますが…。

最後に、ある行動を決断したライマー夫人に対して、パインは「あなたのように振舞う女性は、千人に一人しかいますまい」と、作中最大の賛辞を贈ります。

人間の幸せとは何なのか…を、ちょこっと考えさせられますが、私がライマー未亡人みたいな悩みを持つことは一生ないだろうなww


ところでこの本、創元推理文庫の方は絶版みたいですが、ハヤカワ文庫の方は現在も新刊で手に入るようですよ。

ぼんくら



前にレビューを書いた初ものがたりの、一応続編?にあたる小説です。
続編とはいっても、同一人物は名前だけ登場する茂七親分くらいで、あとはまるっきり別の話なので、続編と言うべきか微妙なのですがw

舞台はやはり江戸の深川。そこの鉄瓶長屋で、殺人事件が起きたのをきっかけに、差配人(長屋の大家さん)が交代し、長屋の住人が一人、また一人…とそれぞれ別の事情で引っ越ししていきます。
最初は特に不審な点もなく話は進みますが、実は背後に大きな黒幕がいて、一見平凡に見える、この長屋の成り立ちや存在に深い事情があったことが分かるのですが…。

いやさすが宮部さんの江戸時代ものです。最後までぐいぐい読ませますね~。
探偵役は本所深川方の同心、井筒平四郎かと思いきやそうではなく、甥っ子の弓之助12才。
平四郎のおかみさんの、姉の息子で、これがまたものすごい美少年だそうでw
で、姉の嫁ぎ先は商家なのですが、姉の旦那が遊び人な為、このまま家に置いておいたら道を踏み外しそうだから、真面目な仕事につかせた方がいいのでは?と井筒家の跡取り候補として平四郎と共に行動することに…。
※平四郎には実子はナシ

この弓之助、見た目がいいだけでなく、機転も利き頭もいい。武道も習っているので、そこそこ強い…という、主役の平四郎より、はるかに高そうなスペックw
登場するのは、上巻の後半からですが、ピンポイントで大活躍する弓之助に、目が釘付けです。


ところで、名前だけ出てくる茂七親分ですが、初ものがたりの時は55才で(byお勢殺し)、今回は米寿を迎えたそうです。
米寿ってことは88才だから、初ものがたりの時から33年が経過したということかしら?
今回出てくる茂七親分の手下(てか)は松五郎
初ものがたりの時にいた権三や糸吉はどうなったのかな~。あの時点で40代と思われる権三は隠居してそうですが、糸吉は当時20代前半っぽい感じだったから、「ぼんくら」に登場してもよかったような気が…。
雰囲気的には今回の手下、松五郎が、ちょうど糸吉の33年後と思えなくはないけれど、、、特に記述はないから別人かな?

というより、今回の話の中で、湊屋という大きな商家がキーポイントになるのですが、湊屋発祥の由来(騒動というか因縁というか…)は30年近く前にさかのぼるそうで、それってちょうど初ものがたりの頃なのでは?
そうなると、その頃の手下糸吉=現在の松五郎だったら、間近でその騒動を見ていたのだから、知らないわけないよな~…やっぱり別人だよなぁと思ったりして。

こういう続編ものは、その辺りの細かいとこがついつい気になっちゃいますねw

金融探偵



今年(2013年)の大ヒットドラマといえば「あまちゃん」「半沢直樹」だと思いますが、その「半沢直樹」の原作本「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」の原作者として、何となく名前を覚えていたのがこの著者です。
で、いつものごとく図書館の返却棚で、この人の本を見つけて、読んだことないけど一応話題の著者だし…と借りてみました。

内容は、10年勤めた銀行が破綻して無職になった大原次郎が、周辺の人から金銭関係の相談を持ちかけられているうちに探偵まがいのことを頼まれるようになり…という短編集。

最初の「銀行はやめたけど」は、次郎の入居しているアパートの大家さんに、相談をもちかけられます。
内容は、経営している銭湯について、融資を断られそうで、どうしたらいいかというお話。
なかなか金融っぽい内容で、これは他の短編も結構期待出来るんじゃないかと思ったのですが…。

この先は、しばらく金融とは余り関係ない話が続きます。
「プラスチックス」って、宮部みゆきさんの「火車」に似てないか?
「眼」は、角膜移植によって、前の持ち主の映像が見えるようになったけど…という、どこかで見たようなストーリー構成。
ちなみに眼科勤務経験者から言わせてもらえば、それはありえないからw
そして同じような非現実的な話でも、脳移植で他人の人格が自分を支配し始める…という東野圭吾著「変身」の方がずっと面白い。

次の「誰のノート?」「藤村の家計簿」は、二つで一つの話。
大家の娘の通う大学の講師の先生からの相談で、先生の祖父は有名な画家だったそうですが、その祖父が若い頃一時パリに留学していたらしく、そこの留学仲間らしき人物の家計簿を、後に誰かから買い取ります。
誰の家計簿かわからないが、それを本人か遺族に返したいと、いろいろ調べるのですが…。
家計簿って、ほんといろいろなことが分かるんですね~。当時の生活具合も分かったりしてちょっと面白い。
とはいえ、結婚してから一度も家計簿をつけたことがない私にしてみれば、こんなに細かく帳簿をつけるなんて、何てマメな男なんだ!と違う意味でびっくりww
で、最後に、祖父がある有名な絵を模写して、それを現在までずっと保管していたという話が出てくるのですが、その保管方法って金田一少年の事件簿の「首つり学園殺人事件」や「怪盗紳士の殺人」に出てきた方法と同じじゃね?w

その次の「人事を尽して」で、やっと再び金融っぽい話が登場。
塗装会社の社長から、計画倒産のやり方を指導してくれと話を持ちかけられるのですが、話は意外な方向に…。
面白かったけど、オチが何となく最初の「銀行はやめたけど」に似てるような?

最後の「常連客」は、次郎が通っている鍼灸院の“いつも予約時間より30分早く来て待っている”なぞの女性客から始まって、最後は次郎があわや殺人の被害者に!?
「プラスチックス」ではタダの交通課の警官だった勝村さんが、後半はこんないいキャラになるなんてね~。
やはり探偵の持つべきは警察の知り合いだなw
というか、交通課の警官なのに、関係なさそうな部署の捜査内容とかよく知ってるよね勝村さんww


…全般的には、まあまあですね~。
でも金融関係の話は面白いので、「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」も、いずれ読んでみたいと思ってます。
ただ、今は図書館の予約が一杯なので、来年辺り、ほとぼりが冷めてから借りる予定ですけど…。


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