今年(2013年)の大ヒットドラマといえば
「あまちゃん」と
「半沢直樹」だと思いますが、その「半沢直樹」の原作本「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」の原作者として、何となく名前を覚えていたのがこの著者です。
で、いつものごとく図書館の返却棚で、この人の本を見つけて、読んだことないけど一応話題の著者だし…と借りてみました。
内容は、10年勤めた銀行が破綻して無職になった大原次郎が、周辺の人から金銭関係の相談を持ちかけられているうちに探偵まがいのことを頼まれるようになり…という短編集。
最初の
「銀行はやめたけど」は、次郎の入居しているアパートの大家さんに、相談をもちかけられます。
内容は、経営している銭湯について、融資を断られそうで、どうしたらいいかというお話。
なかなか金融っぽい内容で、これは他の短編も結構期待出来るんじゃないかと思ったのですが…。
この先は、しばらく
金融とは余り関係ない話が続きます。
「プラスチックス」って、宮部みゆきさんの「火車」に似てないか?
「眼」は、角膜移植によって、前の持ち主の映像が見えるようになったけど…という、どこかで見たようなストーリー構成。
ちなみに眼科勤務経験者から言わせてもらえば、それはありえないからw
そして同じような非現実的な話でも、脳移植で他人の人格が自分を支配し始める…という東野圭吾著「変身」の方がずっと面白い。
次の
「誰のノート?」と
「藤村の家計簿」は、二つで一つの話。
大家の娘の通う大学の講師の先生からの相談で、先生の祖父は有名な画家だったそうですが、その祖父が若い頃一時パリに留学していたらしく、そこの留学仲間らしき人物の家計簿を、後に誰かから買い取ります。
誰の家計簿かわからないが、それを本人か遺族に返したいと、いろいろ調べるのですが…。
家計簿って、ほんといろいろなことが分かるんですね~。当時の生活具合も分かったりしてちょっと面白い。
とはいえ、結婚してから一度も家計簿をつけたことがない私にしてみれば、こんなに細かく帳簿をつけるなんて、何てマメな男なんだ!と違う意味でびっくりww
で、最後に、祖父がある有名な絵を模写して、それを現在までずっと保管していたという話が出てくるのですが、その保管方法って
金田一少年の事件簿の「首つり学園殺人事件」や「怪盗紳士の殺人」に出てきた方法と同じじゃね?w
その次の
「人事を尽して」で、やっと再び金融っぽい話が登場。
塗装会社の社長から、計画倒産のやり方を指導してくれと話を持ちかけられるのですが、話は意外な方向に…。
面白かったけど、オチが何となく最初の「銀行はやめたけど」に似てるような?
最後の
「常連客」は、次郎が通っている鍼灸院の“いつも予約時間より30分早く来て待っている”なぞの女性客から始まって、最後は次郎があわや殺人の被害者に!?
「プラスチックス」ではタダの交通課の警官だった勝村さんが、後半はこんないいキャラになるなんてね~。
やはり探偵の持つべきは警察の知り合いだなw
というか、交通課の警官なのに、関係なさそうな部署の捜査内容とかよく知ってるよね勝村さんww
…全般的には、
まあまあですね~。
でも金融関係の話は面白いので、「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」も、いずれ読んでみたいと思ってます。
ただ、今は図書館の予約が一杯なので、来年辺り、ほとぼりが冷めてから借りる予定ですけど…。