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これまで読んだ本、新しく読んだ本の感想を適当に書いていきます。 ※あくまで個人の感想です!
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仮想儀礼
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救命センター当直日誌
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コモリと子守り
櫻子さんの足下には死体が埋まっている
さまよう刃
事故―別冊黒い画集Ⅰ
死体置き場で夕食を
十角館の殺人
しまのないトラ
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シャーロック・ホームズシリーズ
シャーロック・ホームズ秘宝の研究
小公子セディ
小公女
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世界の終わり、あるいは始まり
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武田信玄(あかね文庫版)
地球進化 46億年の物語
冷たい川が呼ぶ
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トッカン 特別国税徴収官
トッカン The 3rd おばけなんてないさ
トッカン vs勤労商工会
猫のなるほど不思議学
パーカー・パインの事件簿
初ものがたり
福家警部補の挨拶
ブードゥー・チャイルド
ホームズの伝記比較
ホームズ・パロディ(J・トムスン)
星新一のショートショート
「本が売れない」というけれど
ぼんくら
マスカレード・ホテル
マンガ版シャーロック・ホームズ
万能鑑定士Qの事件簿のシリーズ
「見たいテレビ」が今日もない
ミッキーマウスの憂鬱
密室殺人ゲーム王手飛車取り
密室の鍵貸します
みんないってしまう
モンスター
夜行観覧車
ラプラスの魔女
霊柩車No.4
ワイルド・スワン
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トッカン The 3rd おばけなんてないさ



トッカン 特別国税徴収官トッカンvs勤労商工会に続く第3段。
一つ目はまあまあ、二つ目は予想外に面白かった…ときて、今回は?とそれなりに期待して読みましたが…。
それなりに期待通りだったと思います。うん、最後まで面白く読みました。

最初は頼りなかった鈴宮深樹もすっかり一人前になっちゃって、鏡特官からも大分信頼されるようになり、一人であれこれ行動し活躍する場面が、かなり多かったですね。
一方その分活躍の場が少なかったのは、特官の鏡。今回はほぼ裏方といっても差し支えないような…?
最後の一番美味しいとこで、美味しい活躍したけど、あれだけじゃね~。
むしろ印象的だったのは、風邪引いて、薬の飲み合わせが悪くて、自宅でぶっ倒れちゃったシーンかなw
アンタいい年して何やってるのさww
先日東京に大雪降ったけど、作中でそんな状態になったら、間違いなく凍死してたのでは!?

そして前回ちょこっと登場したけど、今回セリフ付きで初登場したのは、鏡の元奥さん森華子
鏡と彼女は、若い頃にデキ婚したけど、鏡の不注意で小学校入学前の子供を死なせてから溝が出来て、離婚に…。
ものすごい美女なのに、さばさばしてて、そのギャップが…!!
トッカンが続いたら、彼女も物語にからんできたりするんですかね。今回はそんなに重要な役柄ではなかったみたいだし。


今回のメインの事件は、有名な占いの先生原ぜん子の失踪とそれにからむ税金の問題。
多額のお金があったハズなのに、それらはどこに消えたのか?そして原ぜん子の居場所は!?
結構ミステリーチックな展開でしたね。相棒なんかでやりそうww

そして今回重要なテーマになったのは、国家公務員法
仕事上得た情報は、絶対に外に漏らしてはいけないんですよね。

拳銃が出ようが、覚醒剤が出ようが、はたまた死体が出ようが、わたしたちが警察に通報は出来ない。もちろん、ほかのだれかに漏らすこともタブーだ。あくまで仕事上見たものは、税務にかかわるものではなかぎり、おばけだと思ってスルーされる。

国家公務員法で定められた絶対の掟…。
鈴宮は法律と良心の間で悩みますが、どうすることも出来ません。

一般市民にしてみたら、そこら辺はもっと柔軟にやればいいじゃないのさ…だから杓子定規とかお役所仕事とか言われちゃうんだよ…と思うわけですが、法律違反を犯せば最悪懲戒免職
普通そんな危ない橋は渡れませんなぁ。
そこで何も思わず見ないフリの出来る人というのが、徴収官向きなのかもしれませんね。


とまあ、これでとりあえず今出てるシリーズは読み終わりましたが、次が出たらまた読んでみたいですね。
次こそは、鏡特官の更なる活躍を期待してますよ!
鈴宮へのアドバイスと、最後に死体見つけただけの役回りじゃあ、全然満足出来ないから!

そしてこのシリーズ、マニアックな業界を面白く分かりやすく描いているという点では、高評価です。
ほんと、鈴宮も作中言ってるけど、警察ばっかりじゃなくて、税務署ももっとテレビとかで取り上げればいいのにねぇ。。。
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救命センター当直日誌



昔本屋さんで発売直後だったこの本を、たまたま見かけて、衝動買いしてしまった本です。
著者は、都立墨東病院の救命救急センターの部長浜辺祐一先生
救命センターからの手紙という本が日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したのをきっかけに、数冊救命センターで起きたあれこれを本にしていて、これもその一冊。
賞を受賞した「救命センターからの手紙」や、看護師さん向けの月刊誌に掲載されたエッセイをまとめた「こちら救命センター」は、超短編という感じで、一つ一つの話がものすごく短いのですが、この「救命センター当直日誌」は、それに比べるとちょっと長め。
エッセイというより、短編集のような感じになっています。

が、内容は短編とは思えないほど濃厚!
舞台が救命センターなのだから当たり前なのですが、一つ一つの話で人の生死にまつわるあれこれがものすごく濃い。
自分の人生の終わりは、正直こんな風に向かえたくない…と思う話も多いです。
(が、こればっかりは神様しか分かりませんけどねw)

いくつか話を抜粋しましょう。

まずは最初の話破裂
トップバッターからいきなりこれか…というくらい濃さ満点。
患者は50代男性で、吐血して救命センターへ。
調べていくと、末期の肝硬変であり、既に手遅れ。
奥さん曰く、お酒が好きな割には病院嫌いで、どうしようもなかった…が、これをきっかけに心を入れ替えてくれれば…なんて具合で、自分のダンナが死ぬかどうかなんて考えてないし。
そんな奥さんに対して、浜辺先生ははっきりと「もう土俵を割ってる」と告げます。
この話のポイントは、最初に医者同士の話で出た「患者のニーズにどこまで答えるべきなのか」という話題。
最後になって、この患者に対してニーズに答えるとはどういうことなのか?と再度話題になりますが、「そりゃあ輸血や治療でなるべく長く延命を図るべき」という若い医師に対して、浜辺先生が一言。

「何十人もの善意の人が献血してくれた血液製剤が、湯水のごとく使われるんだぞ、しかもまるでザルだ、そんなこと、医者として許せるもんか!」

はっきり「無駄」とか言っちゃってるよ…浜辺先生。
でもそれが本音なんだろうなー。


次はちょっと軽い話遮断
釣りが趣味のオッサン5~6人が、自分で釣ったフグを調理して食べたあげく、そのうち2人がフグ毒に中って、救命センターへ…。
幸い処置が早かったので、2人共間一髪で三途の川から呼び戻され後遺症もなく、その他のメンバーも症状は出てないようだし、よかったよかった…という話なのですが。
よくないのはオッサン連中。
警察まで登場してきて、大騒ぎになっているのに、全っ然反省してないしw
こんなバカ集団相手にする救命センターも大変やねww

救命センターはこんな常連客ばかりで、いちいち頭に血を上らせていたらやってられません…という感じの最後のコメントが何とも…。

しかしこの話のおかげでテトロドトキシンという毒物をしっかり覚えた私ですが、これぞ無駄知識w
それから医療ドラマでよく見かける人工呼吸器。あれを何日も付けるのって、相当な苦痛らしいですね。やったことないけど…というかなるべくやりたくないけどw
今回の二人も、あの苦痛を味わったんだから、もう二度とこんな思いは…と反省するかと思いきや、強力な鎮痛剤や鎮静剤のせいで、ほとんど意識はなかったとか。
もうこの次来たら、鎮痛剤ナシでやっちゃっていいんじゃね?と思ったのは私だけなのか!?


最後はちょっとイイ話系遷延(せんえん)
ある日脳内出血で救命に運ばれてきた40代男性。
脳幹からの出血ということで、手術は不可能。命は取り留めたものの、意識は戻らず、いわゆる植物状態に。
※タイトルの遷延は、植物状態の正式名称遷延性意識障害から。

子供はなく、家族は奥さんのみ。
で、通常、回復の見込みがない植物状態だと、救命センターではなく、他の専門医院等に転院をしなければ、救命のベッドは空かない。
この患者も、普通通りにどこかに転院するかと思いきや、奥さんの出した答えは「自宅で面倒を見る」というもの。
もちろんそれは生半可なことではありません。
食事の世話、失禁状態のシモの世話、床ずれを防ぐ為に行う数時間置きの体位変換、意識があれば普通にやっているはずの痰の吸引…etc
専門の看護師でさえ、苦労するようなことを、素人の女性になんか出来るわけがない。
当初、浜辺先生を始め、皆どうせすぐ音を上げると高をくくっていたはずなのに、この奥さんはあれから10年も面倒を見続けていたというのです。

さら~っと文章で書きましたが、それって相当すごいことですよね。
自分だったら同じことが出来るかどうか、ちょっと自信ないですw

話の最後、その奥さんが浜辺先生にこう伝えます。

「やっぱり、うちの人に、もう少し生きてて欲しいんです」

10年経っても、なおそう思い続けるって、すごいとか、もうそういう言葉では表現出来ない気がします。


と、こんな感じで紹介しましたが、他にも中学生の暴走バイク野郎の話とか、濃厚な話が盛り沢山。
ドラマでは描かれない本物の医療の現実がよく分かる一冊だと思います。

星新一のショートショートシリーズ



ショートショートといえばこの人ってくらい有名な、星新一のシリーズです。
一つ一つの話が非常に短く、ネタも大人から子供まで幅広く楽しめる内容になってます。
話が書かれたのは、数十年前だったりするはずなのに、今読んでも全く古い感じがしない、不思議な小説なのですが、その辺りは星さんがかなり工夫されているらしく、例えばお金に関しては具体的な額を出さず、豪華な食事が2~3回出来るくらいの金額などと、その時代の読み手が自由に金額を想像出来るようになっているとか。
また、名前もエヌ氏とかエス氏とか、時代に左右されないようなものを使っているし。

私が星さんの話を始めて読んだのは、小学校の頃の教科書。
「ボッコちゃん」収録のおみやげという話です。
文明の進んだ星の住人が、地球にやってきて、自分たちの文明を地球人に教えてあげようと考えますが、その時地球はまだ哺乳類も存在していない時代。
なら、いずれ文明が生まれたとき、自分たちの知識を使ってほしいと、金属のタイムカプセルに有益な情報(例えばどんな病気でも治せる薬の作り方とか、簡単に宇宙に行ける宇宙船の作り方とか…)を入れることにします。文字が伝わらないといけないので、絵入りの解説まで付けて。
そしてそのカプセルは、地殻変動の影響などを受けないように、砂漠の真ん中に置いておくことにしました。
さて、その後地球には人類が誕生し、ついに金属のカプセルが開けられる瞬間が来るかと思いきや…。
子供ながらに「あーあ…」と思ったのを覚えてますwこれは地球人の自業自得…。

それからもう一つは、「宇宙のあいさつ」収録の繁栄の花
(多分おみやげが小学3年くらいで、繁栄の花が4年くらいじゃなかったかしら?)
ある星の住民が宇宙船に乗って、地球に友好のあいさつにやってきます。
そして友好のしるしとして、繁栄の花という花をお土産に置いて一旦帰ります。
繁栄の花は、素晴らしい花で、見た目は美しく、匂いもかぐわしく、丈夫で育て易いという、非のうちどころのない花だった為、地球人は繁栄の花に夢中になり、この花は世界中に広まります。
が、世界中に広まってから、この花のある弱点が露呈します。
というのも、繁栄の花は、決して枯れないのです。薬品でもダメ、火でも燃えず、低温にしても成長が一旦止まるだけ。
この花、既に増えすぎなんだけど、一体どうしたらいいんだ…と思ったとこで、例の繁栄の花を持ってきた宇宙人が再び地球にやってきますが…。

この話、結末は結構ダークww
始めは地球人が優位かと思わせておいて、そうきたかという結末に、子供ながらびっくり!
でも相手を支配するのにこういう方法もあるんだと当時は目からウロコでした。
というか、今思えば、この話は国語の時間というより、社会の時間にやるべき内容じゃないかな?

とにかく二年続けて星さんの話を読んで、子供だった私の頭の中にも、この人の名前はばっちり刻まれました。


その他私の好きな話は…沢山あるのですが、いくつか抜粋してみます。
「ボッコちゃん」より
生活維持省…戦争も飢餓もない素晴らしい世の中が実現した地球ですが、その代償は…。

「悪魔のいる天国」より
ピーターパンの島…合理的な社会に時折生まれる「空想力の豊かな子供」。そんな子供たちの為に用意されている夢の島ですが、島の本当の目的は?

「宇宙のあいさつ」より
奇妙な社員…ものすごく仕事の出来る社員の唯一の欠点は、時々とる長期休暇。社長が休暇中何をしているのか調べた結果は?

「おせっかいな神々」より
古代の秘法…古代文明の残した長生きの究極の方法を苦心して翻訳してみたら!?

「未来イソップ」より
価値検査器…どんなものでも、一瞬で価値があるかないか測定してくれる万能の機械だけど、それを扱う自分の価値はどのくらい?

「ようこそ地球さん」より
処刑…ある罪人が送られた星は、水も食べ物もない。持っているのは一つの球。その球のスイッチを押すと、水や食べ物など、自分の欲しいものが出てくるか、或いは球が爆発して死ぬかのどちらか。罪人は毎回ボタンを押すたびに、今こそ死ぬんじゃないかと恐怖におびえながら過ごすわけですが…。

「妖精配給会社」より
ひとつの装置…かなりのお金をかけて広場の真ん中に作られた何もしない装置。その装置の本当の役割とは?


…とまあ、抜粋とはいえ沢山出しちゃいましたね。
本当はまだまだあるのですが、キリがないので、この辺で終わりにしますw
あ、アマゾンの紹介は、私のお気に入りのヤツにしときました。

トッカンvs勤労商工会



先日トッカンを図書館に返却したら、いいタイミングでトッカンのver2が返却棚に!
これはもう一気に読むしかないよねと、即決で貸し出しコーナーへ。

ところで「ダイハード」しかり、「ジュラシックパーク」しかり、一つ目がヒットして作られる続編というのは、結局最初のが一番面白かったよねと言われがちです。
とはいえ、トッカンに関して言えば、最初のがまあまあだった為、これ以上面白くないってことはさすがにないだろうと、ほとんど期待しなかったのですが…。

予想外に面白かったです!

どう考えても最初のトッカンより面白い。
一つの大きな問題を主題に持ってきて、周辺に細かい問題を、主題の邪魔にならないように配置している感じが絶妙。
前回「綿菓子並みの軽さ」と書きましたが、今回は軽さもほどほどで、余計なお涙頂戴の人物描写もなく、その辺はスッキリ。
各キャラの個性も、今回の方が分かり易いような気がします。
え?何?何?作者が変わったの?と思うくらい違っててびっくり。


今回は、鏡特官が担当していた大衆食堂「からかわ」の主人唐川成吉が自殺したことで、税金の徴収方法に問題があったのでは?と、成吉の奥さん詠子と、からかわが所属していた勤労商工会の担当者吹雪敦に、鏡特官と、税務署が訴えられることになります。

いつもいつも強引なやり方をしつつ、それでも結果を出し続ける有能な特別国税徴収官-略して特官鏡の向かえる最大のピンチに、直属の部下鈴宮深樹はどうするのか?
単純にお金(税金)が払えなくて鏡に自殺したと思われた成吉ですが、背後にいろいろと事情があり、真相は全然違うとこにあった…ということが最後に判明します。

ちなみに勤労商工会というのは、中小企業のための任意団体で、要するに個別で弁護士や税理士を雇えないから、何か(こういう自殺とか)あった時にはそこで何とかしてもらおう…という団体…なのかしら?
今回勤労商工会-略して勤商の側の担当をするのが、弁護士吹雪敦。ただの弁護士かと思いきや、東大から裁判官にもなったというエリート。
正義のヒーローになりたいというよく分からない理由で、その地位を捨てて、勤商の担当になったらしいです。
(この辺りの設定はさすがにちょっと無理アリアリww)
元エリートだけあって、口は達者だし、手腕もなかなか。
鏡特官と税務署の最強の天敵となって、からかわ事件の裁判を担当するのですが…。


そういえば、今回新しい同僚が二人増えるのですが、そのうち一人錨喜理子がクセ者。
前回相沢芽夢でイタイ目にあったのに、今度は同僚でイタイ目に遭いそうになる鈴宮…。
何というか、こんなにおめでたい性格なのに、人の行動の裏を見る徴収官なんかよくやってられるよねw
どう考えても普通の企業のOLとかの方が合ってたのでは?と思うのは私だけかw
しかしそんなクセ者錨の正体を早々に見抜いていた上席の鍋島木綿子は、さすが「夜の(お店)担当」。
前回特別大きな出番はありませんでしたが、今回はラストに彼女の見せ場が!


で、この分だと、実はver3もちょっと期待出来るんじゃないの?と、読み終わる前から既に3を借りてありますw
vs勤労商工会は、もう返却するので、次は「トッカン3rd」に取り掛かろう!



昔NHKでドラマ化したのをたまたま見て、原作が読みたくなり購入した本です。
新潟の旧家、蔵元の田乃内家の一人娘烈(れつ)の誕生からスタートし、烈の成長と、周囲の人々、あるいは田乃内家の歴史をつづった、壮大な小説になってます。

田乃内家の一人息子、意造の所にお嫁にやってきた賀穂は、体が弱く、子を何人も出産するが皆死産か早世してしまい、なかなか跡継ぎが生まれない。
そこでようやく生まれ、育ったのが
養育係として田乃内家にやってきた賀穂の妹佐穂と共に、何とか成長したが、小学校に上がる前に目の病気を患い、いずれ失明することが判明してしまい、その後母親の賀穂も体を壊して病死。
と、同時に蔵の方でも存続の危機に見舞われたり、意造が30才以上年下の芸者と再婚しちゃったりと、烈と佐穂の周囲は波乱万丈。
しかし、最初は目の病気ゆえに甘やかされてきた烈が、その波乱万丈を得て、次第に自分の生きる道を見出していくのです…。

とまあ、こんな感じであらすじを書きましたが、この話の主役、烈じゃなくて佐穂の方でしょ!?と強く思いました。
強いて言うなら、裏主人公。キーパーソン。
普段はおとなしく、誰にも反発することのない佐穂ですが、肝心な場面…特に烈に関わる重大な局面では、家長の意造を圧倒するほどの説得力を発揮するのです。
こう言っちゃあ何だけど、体の弱い賀穂でなく、佐穂の方をお嫁にもらっておけば、田乃内家も安泰だったよねーとか思っちゃいますが、それじゃ物語にならないので仕方ないかw

それにしても、この時代の男性は、ものすごい権力を持っていましたが、同時に責任感もすごかったのだなと思わされます。
意造は賀穂亡き後、30才以上年下の芸者せきと再婚して、最初は跡取り息子なんか誕生して上々だったものの、その息子を不幸な事故で亡くしてからは、せき(実は結構身勝手な女w)との間に深い溝が出来てしまいます。
が、それでもせきのすることに絶対文句を言わず、「一旦女房にもらったのだから死ぬまで女房だ」と、自分からは最後まで離婚話を出さないのです。
(もっとも意造の場合はその責任感が度を越して、せきを不幸にしちゃったんだけど…w)

そういえば私が何気に気に入ってるキャラは、後半ちょいちょい出てくる意造のいとこ(田乃内の分家)の正博かなー。
烈に余計な見合い話を持ってきたとこはマイナスだったけど、その他重要なとこで結構いいアドバイスするんですよね~。

せきとの一人息子が早世して落ち込んでいる時には
「家が長く続けば夭折もあれば縄付き(犯罪者)も出してる」
と励ましたり、一旦閉めた蔵を烈が再開することに関する相談の時には
「お前(意造)がいなかったら烈ちゃんは思うとおりに行動している」
と、本当は意造もちょっと前向きになってた蔵の再開を後押ししたり、烈が蔵人(蔵で働く男性陣)の一人に恋しちゃって結婚したいということについては
「酒屋が真面目な蔵人を婿にとるのはもっとも理想的」
などと、現実的なことを意見したり…。
それだけでなく、芸者出身のせきの化粧が濃すぎるときは、「言いにくいことだけど…」と、耳の痛い忠告もしてくれたり…。
意造は一人っ子だけど、こういう頼りになる兄貴分がいてよかったねぇと、心から思いますよw


ところで、宮尾さんの他の本は新装版ということで、リニューアル出版されているのですが、蔵はアマゾンを見る限り絶版?
あんな傑作が絶版なんてありえない~!
是非リニューアルして欲しいです!!


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